2021年10月7日(木)、8日(金)にACFE JAPAN初めての試みとして、2日間にわたって「第12回 ACFE JAPAN カンファレンス」を開催いたしました。新型コロナウイルス (COVID-19)蔓延の影響により、昨年に引き続きオンライン開催となりましたが、アフターコロナに向けた経済の再起動は欧米を中心に始まっており、一手二手先を見据えた戦略的な議論が不可欠です。「VUCA」と呼ばれる不安定な時代がゆえ、変化に流されない自立的な公平性や倫理性、社会性が企業に問われています。このような時代で矜持をもった企業活動をいかに進めるか、監査部門やCFEはその守り手として、どんな役割を果たすべきか。今回のカンファレンスでは、「不正対策」「監査」「CFEの役割」の定義の根本を、様々な分野で活躍される専門家と共に考察しました。
本カンファレンスのご後援を日本公認会計士協会にいただいたこと、ACFE JAPANが開発した不正対策教材が同協会の研修に採用していただけるという事に触れ、このような連携が、日本における企業不正の防止を推進する上でメルクマールになるとの話がありました。
株式会社制度の社会的意義とは何か、中間市民層主役の企業法制とはデモクラシーの根拠か等の疑問を歴史的な経緯を振り返りつつ、法意識のあり方についての解説がありました。
上村達男氏の基調講演を受けて、ACFE JAPAN理事長の藤沼亜起氏と議論を深めました。基調講演の振り返りや、株主総会における多数決の制約原理の多様性を考える対談は大変興味深いものでした。
2011年10月に発覚したオリンパスによる巨額粉飾決算事件。発生から10年目の節目を迎えた本事件。事件勃発前に3度あった発見の機会を説明し、ジャーナリストの視点で本事件を検証、解説されました。
なぜランサムウェアの攻撃が増加しているのか?企業として取るべき予防策は?実際にランサムウェア攻撃を受けた場合にどのような点に留意して対応すべきか?等について、企業のサイバーインシデント対応を専門とする弁護士が解説されました。
冒頭、EY新日本有限責任監査法人の杉山氏からランサムウェア攻撃の傾向とサイバーインシデントが起こる前にできること、インシデントが監査に与える影響について解説され、三井住友海上火災保険株式会社の石津氏が米国と日本のサイバー保険の補償内容、海外でのランサムウェア被害の状況を説明し、サイバーリスクに対する管理手法や保険会社の提供するサービス等を紹介されました。
パネルディスカッションでは、それぞれの専門分野における視点が示され、意見交換が繰り広げられました。
DXの進展により、多くの企業のビジネスモデルの変革を促す中、企業はどのような課題を新たに認識し、リスクに向き合っていく必要があるのか、さらには、その中でCFEにはどのような役割を担っていくことが期待されるのかを考察されました。
フォレンジックテクノロジーの概要と重要性および、不正予防・不正調査におけるフォレンジックテクノロジーの活用方法について解説。フォレンジックテクノロジーを最大限に活用するために必要な準備についても語られました。
カンファレンステーマで取り上げているVUCAの環境で生き残るための企業のガバナンス手法であるAgile Governance。「”遵守する”ガバナンス」から「”参加する”ガバナンス」へ移行することにより、イノベーションとリスク管理の両立が図ることについて解説されました。
「監査は資本市場のインフラである」とはどういうことなのか、という視点から監査に臨む公認会計士の心構えを考察することから始まり、公認会計士協会とACFE JAPANの連携における意義について語られ、大変興味深い基調講演となりました。
手塚正彦氏の基調講演を受けた、ACFE JAPAN 評議員会 会長の八田氏の対談は、盛んな議論が繰り広げられ、大変見ごたえのある対談でした。
不祥事対応は経営者によるリーダーシップが不可欠である点に触れ、企業不祥事の広がりについて検証し、その不祥事対応のプロセスを‘経営者の役割’という視点から捉えなおし、平時からの備えを含めて解説されました。
CSRの根幹である企業倫理の重要性について、これまでのコンプライアンスを中心とした守りの倫理だけでなく、不正防止を通して社会に対しポジティブなインパクトを与える攻めの倫理を踏まえ、ESG経営とCFEの役割について検討されました。
モデレーターのプロアクト法律事務所 竹内氏によるコンセプト説明では、4つの具体的な事案を紹介、比較検討。その後パネリストによるプレゼンテーションが行われました。
株式会社ビズサプリの辻氏は「経営者不正という『危機』における適切な不正調査とは」というタイトルで、プレゼンテーションを行い、株式会社バンダイナムコホールディングスの永池氏は、業務執行者の目線・常勤監査役の目線・上場会社の目線でプレゼンテーションを行いました。株主と会社と社会の和・機関投資家協働対話フォーラムの山崎氏からは機関投資家目線での意見があがりました。
パネルディスカッションでは、本質をついた竹内氏の質疑に対して、異なる目線を持つパネリストと共に、経営者関与事案にあるべき不正調査とはどのようなものかを探求し、CFEも適正な不正調査に携わることでコーポレートガバナンス機能を支えることができることを示されました。