日時:2014年6月16日(月)~18日(火)
場所:テキサス州サンアントニオ
快晴のテキサス州サンアントニオにおいて、記念すべき第25回ACFE カンファレンスが開幕しました。今年も過去最高となる3,000名近いACFE会員が世界各国から集まりました。サンアントニオと言えば1836年のアラモの戦いで有名なアラモ砦が観光名所ですが、ACFE本部のオースティンから車で1時間半程の場所です。
毎年の恒例で、テーブルが300台近く並ぶ巨大会議場に、バグパイプ演奏者の先導による参加60か国の国旗の入場行進が行われて、カンファレンスの開会が宣言されます。
今年の日の丸の旗手はCFEの大塚美絵子 氏です。
これから3日間にわたり、全員で参加する7つのKey Note Speech(基調講演)と13のBreaking Session(分科会)に分かれた70におよぶセッションに分かれて、日頃不正と戦っている世界中のACFE会員が一か所に集合して、様々な集合トレーニングや情報交換をしていきます。
ACFEのPresident & CEOであるJames Ratleyの挨拶に続いて、今年70歳となるACFE創始者であるDr. Joseph T. Wellsのカンファレンスにおける最後となるスピーチです。
最初のGeneral Session(全員が参加する基調講演)はトランスペアレンシー・インターナショナル(TransparencyInternational)の創始者であるDr. Peter Eigen です。トランスペアレンシー・インターナショナルは、その20年以上にわたって腐敗と戦ってきたNon-Governmental Organization (NGO)で、著名なAnnual Corruption Perceptions Index report(腐敗認識指数:CPI)を毎年発表しています。 ( http://cpi.transparency.org/cpi2013/results/ ) 近年の米国の腐敗防止法(FCPA)の執行は厳しくなるばかりですが、彼の数十年にわたる腐敗行為との戦いを聞くと、原因ともなる世界経済のasymmetry(不均衡)は深刻で、その解決は簡単なものではないのだと考えさせられます。
午前中の分科会はCFEのExam CoachであるAngela Archieによる"Understanding The New 2014 CFE Exam" でした。米国でのCFE試験対策はFraud Examiners Manualを自習して受験することもできますが、今年から(1)ACFE's CFE Prep Course と(2)Live CFE Exam Review Courseの2種類となりました。Prep Courseはシステムで学習の記録を取っていき、85%以上の正答を決められた期間に記録できれば合格保証(さもなくば返金)を約束しています。また、Live CFE Exam Review Courseでは、Liveで指導を受けて会場で試験を受けることもできるのが特徴です。ACFEはCFE試験合格までの平均的な勉強時間を450時間と見積もっているようです。
Working Lunchセッション(昼食を取りながらの基調講演)は、元FBI Director でFreeh Group International SolutionsのCEOであるLouis J. Freehです。著書の"My FBI: Bringing Down the Mafia"も有名です。 1993年にFBIのDirectorに任命され、ジュリアーニ元NY市長やクリントン元大統領から称賛された様に8年間の任期の間にグローバル化してテクノロジー化する犯罪に対応して、FBIをグローバルな機関に変貌させました。
午後の前半の分科会はProfessional Power Products のSheila Moran CFOによる"Critical Steps You Need To Know To Protect Yourself--And Your Organization(貴方と貴方の会社を守るために知るべき重要なステップ)"です。企業不正の防止と発見に関する包括的で基本的なことの再確認でしたが、他社から学び、現実的なビジネスエシックスのプログラムを持つことの重要性を強調する丁寧なプレゼンテーションでした。
午後の後半の分科会は、AFB Consultingの経営者であるAllen Brownによる"Why Audits Fail To Find Fraud(何故監査は不正の発見に失敗するのか)"です。監査は財務諸表に重大な影響を及ぼす不正を発見するように設計されなくてはいけないのですが、不正は隠ぺいされ、懐疑心の欠如、毎年の繰り返し作業、考えずにチェックリストを埋める監査、事業に関する無知等の理由から発見されない場合もあります。実例を挙げながら、手続きの実施だけに陥らない監査の重要性について強調しました。
初日の晩には、各地域のリーダーやスピーカーを招いたPresident Receptionが開催されました。
ACFE JAPAN 理事長 濱田眞樹人