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2025年11月6日
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ACFE JAPAN岡田理事長「公認不正検査士」インタビュー#4:米澤真理Astemoグローバル監査統括室長「新たな会社の船出、内部監査体制の構築は“壮大な旅”」

2025年12月2日
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どうしたら不正は防げるのか――。わが国唯一の不正対策機関、日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)の岡田譲治理事長(元三井物産副社長CFO=最高財務責任者)が、さまざまなビジネスシーンで活躍する公認不正検査士(CFE)のフロントランナーの素顔に迫る本企画。

第4回は、自動車部品大手でシステム開発にも取り組むAstemo(アステモ)のグローバル監査統括室長を務める米澤真理さん。同社は2021年1月に日立製作所の子会社とホンダ系の自動車部品会社の合計4社が統合して発足。当初は日立の連結子会社だったが、23年10月にホンダが出資割合を増やし、日立側と40%ずつ持ち合う体制に。25年4月には社名を日立AstemoからAstemoに変更した。「100年度に一度の大変革の時代」と言われる自動車産業を象徴するように会社が大きく変貌する中、米澤さんは日夜、内部監査体制の構築に全力投球しているという――。

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岡田譲治 氏


日本公認不正検査士協会 理事長

横浜国立大学卒業後、74年三井物産入社。2014年代表取締役副社長執行役員CFO(最高財務責任者)、15年6月常勤監査役(~19年6月)、17年11月公益社団法人日本監査役協会会長(~19年11月)。23年6月一般社団法人日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)理事長

このほか、太陽有限責任監査法人経営評議会委員、日本航空社外監査役、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議メンバー、日本取引所自主規制法人外部理事、日本電気社外取締役などを務める。

公認不正検査士(CFE)

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米澤真理氏


Astemo株式会社 グローバル監査統括室 室長 ゼネラルマネージャー

法政大学MBA。外資系メーカーよりグローバル製造業の内部監査部門責任者を18年間歴任。IIA Japan(日本内部監査協会)にて内部監査の価値向上のために取り組んでいる。また、監査の効率性、データ分析手法、少人数監査部門の取り組み、経営者との対話、組織体への価値の付加等について研究、実践し、国内外のConferenceで発表している。


CIAフォーラム世話人、z9研究会座長、公認内部監査人(CIA)、公認リスク管理監査人(CRMA)、公認不正検査士(CFE)

内部監査の責任者としてAstemo監査部門の変革を推進中


岡田譲治氏

米澤さんは内部監査部門に長らく携わってきたと聞いています。これまでのご経歴を教えてもらえますか。

米澤真理氏

複数の会社で内部監査の部門長を務めてきました。延べ18年になります。いずれも製造業です。長かったのは自動車鋼板の溶接機械をつくるOBARA GROUP(オバラグループ)で、11年間務めました。

オバラグループにいた時、内部監査部門を初めから立ち上げる経験をしました。その頃はまだ会社法の内部統制が産業界に徐々に広がってきたころで、「内部統制って何?」という時代。そんな中で、上場企業に金融商品取引法の内部統制制度(J-SOX=財務報告係る内部統制報告制度)が導入され、管理プロセスや業務規程などの規程を監査法人と一緒につくり上げました。導入後の状況確認の必要もあり、内部監査室長を務めました。

その後、コネクタ製造のイリソ電子工業に入社。ここはすでに内部監査部門はあったので、経営者と話し合いながら業務を深めることに取り組みました。

岡田譲治氏

それからAstemoに入社されたわけですが、御社は新しい会社ですよね。従業員数や子会社の数はどのくらいになりますか。

米澤真理氏

日立オートモティブシステムズ、ケーヒン、ショーワ、日信工業の4社が統合し日立アステモ(当時)が発足したのが2021年。いま、本社や世界中の拠点がものすごいスピードで変わってきています。過渡期の真っ只中で、すべてを新しくする必要があるのです。例えば、業務用システムはまだ、親会社だった日立のものが主に使われていますが、これらを段階的に変えようと取り組んでいます。

統合効果を出すために人員も子会社も再編成しており、統合当初、約9万人だった従業員数が、いまは約8万人。子会社も海外を中心に140社ちかくありましたが、現在は100社ほどです(2025年3月)。

内部監査部門はこれらの拠点すべてが対象になります。私たちは社内規定などのルールに基づいて対応しますが、全社で見ると、そのルールの数は約1000以上にもなりました。

岡田譲治氏

え!? ルールが1000もあるのですか。それはすごい。

米澤真理氏

当たり前ですが、4つの会社にそれぞれの決まり事がありました。J-SOXの仕組みも現在のアステモには5つあります。旧4社の分と、統合して新しくなる規程で、システム的には32年の統合が目標です。

これ以外にも4社のルールを統一して運用していくことを目指していますが、合計で140社もあった子会社も、それぞれ違う業務システムでオペレーションを回してきました。さらに、そんな子会社の各部門にも独自の規則があります。これらを合わせると、ルールと言えるものが1000以上に上るのです。

とはいえ、会社が統合したからといって、そう簡単にはなくせません。私たち内部監査部門の対応がルールに基づくものである以上、できるかぎり統一する必要がありますので、いまは“大きな旅”の途中にいるような感覚ですね。

岡田譲治氏

大変な仕事ですね。それを監査部門は何人ぐらいでやろうとしているのですか。

米澤真理氏

いま人員を増やしているのですが、海外を含めて38人です(インタビュー時点)。米州、欧州、中国、アジアの4カ所で監査部門を立ち上げようと準備をしています。

岡田譲治氏

私の経験から言うのですが、内部監査は利益を生み出す部門ではありません。スタッフを増員することについて、経営からの抵抗はありませんか。「ちょっとコストがかかるな」とか……。(笑)

米澤真理氏

その点、弊社の経営は非常に理解があり、協力的ですね。少なくとも、私はそう思っています。理解を得られる結果を出すことが必要です。(笑)

経営陣と内部監査部門の距離が近く、コーポレートガバナンスやコンプライアンスについてきちんと対応しようと動いてくれています。上場を目指すことを公表しており、「このへんはしっかり整備しておかないと」という意図があるのかもしれません。

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岡田譲治氏

内部監査部門と監査等委員との連携はどのようにしていますか。また、内部監査部門のレポート対象は社長でしょうか。

米澤真理氏

日本企業の多くがそうであるように、Astemoの内部監査部門も社長直轄の組織です。

ただ、私は24年4月に入社したのですが、すぐに内部監査部門と監査等委員会の連携に向けて動き出し、すでに会議などを定例化しようということになりました。これ以外にも、取締役会、執行部門の役員が集まる会議体などにもレポートすることになっています。いわゆるデュアルレポーティングで、独立性を保ちながら、さまざまなところとコミュニケーションをとる形です。

岡田譲治氏

私も社外取締役として上場企業の監査委員長をしているのでよく分かるのですが、監査等委員は内部監査部門を頼りにしています。また、内部通報などの情報をしっかりと把握していかないと、監査等委員はなかなか動けません。それは内部監査部門も同じだと思うのですが、情報収集やレポーティングをどのよう運用していますか。

米澤真理氏

まだ現在進行形で、「このように運用してきました」とはとても言えない状況です。(笑)

そんな状況ではありますが、金銭の損失を伴う不正に関してはグローバル監査統括室に情報が来るようになっています。一方で、内部通報や金銭の損失を伴わないコンプラアンスに関する情報は、まずコンプライアンス部に集約されることになっています。

双方がうまく連携をとっていかないと、来るべきところに情報が来ないといった不具合が生じるものです。また、監査法人も内部統制に関する情報を求めて来ます。ですので、いま、会社の中のコンプライアンスに関する情報の流れを整理している最中にあります。

岡田譲治氏

ただ、一口にコンプライアンスといっても、対象はあまりにも広いでしょう?

米澤真理氏

おっしゃる通りで、贈収賄、ハラスメント、データ不正、サイバー不正……たくさんの概念があります。さらに、これは私たちの製造業では極めて重要なことですが、品質・検査不正もあります。どこかに情報を集める部署をつくり、そこから適切な部門に振り替えて、そこが最後まで見ていく仕組みが必要だと考えています。

内部監査の立場から言えば、不正が解決したからといって終わるのではなく、企業風土やカルチャーに課題はなかったのか、また、内部監査の手続きに落とし込んで次のステップにつなげることができないか、と思っています。不正事案とその対応を将来に向けて有効に活用したいからです。

「本当の現場」に理念やコンプライアンス意識が行き渡る必要性


岡田譲治氏

ところで、最近は金融業界で不祥事が立て続けに起きました。他社の不正事案をどのように受け止めていますか。そもそも、不正を発見することは内部監査の役割なのでしょうか。

米澤真理氏

一般的に、不正が起きると、「内部監査は何やっていたんだ」との批判を受けることがあります。不正を検知する仕組み、不正をしない意識を社員に植え付けていく取り組みが必要です。内部監査の部門長としては、内部監査が不正を防ぐ大きな役割を果たしていかなければ、と思っています。そして、ガバナンス全体で、不正を防ぐ仕組みができているかどうかを見るのが、内部監査の役割だと考えています。

弊社のケースですが、ある海外拠点に内部監査部門の人員を新たに配置したところ、不正の発見件数が著しく増加しました。個別には金額的に大きなものではありませんが、他の海外拠点に比べて数が多いのです。それでも、この拠点で不正が横行しているとは考えていません。内部監査部門が熱心に仕事をすれば、たくさんの不正の芽が見つかる、と受け止めています。

逆に不正の報告がないことが良いことなのでしょうか。不正が見つかることは、むしろ喜ぶべきことかもしれません。スピーク・アップ(声をあげること)ができる風土があるとも言えます。こうした流れを良しとしたいと考えています。

実は、モデルケースとして、コンプライアンスの成熟度を評価するプログラムを導入しました。こんなことを参考にしながら、スピークアップができるカルチャーや風土をつくりたいと思うのです

岡田譲治氏

日本のメーカーで品質・検査不正が続いています。Astemoでも21年に発覚しました。品質・検査不正で共通することは、従業員が私利私欲といった“悪意”を持ってやっているわけではないことと言えるでしょう。品質不正を防止するためにどのようなことが必要だと考えていますか。

米澤真理氏

特に大きな組織では、理念やコンプライアンス意識が隅々まで行き渡っているかどうかを見ていく必要があります。ここで言う「隅々」とは、子会社や拠点といったレベルではなく、製造ラインなど本当の「現場」のことです。この現場に本質的なことをどれだけ伝えることができたのか。現場に理念や方針が行き渡っていないと、不正は起きるのです。

Astemoでは、経営陣が工場に直接足を運んで社員と対話するタウンホール・ミーティングを積極的に持つようにしています。特に弊社に入って驚いたことが、海外を含む、ファンクション、個社間のコミュニケーションをとても大事にしていることでした。「グローバル・ゲートウェイ」というイントラネットをフルに活用しています。

日本の会社では、社長がオンラインの年頭式であいさつをしたっきりで、経営トップと海外拠点との接点は1年間それだけで終わってしまうというようなことが往々にしてあると聞きます。ところが、Astemoでは、例えばチェコやポーランドなどでトップがタウンホール・ミーティングを開いたら、その動画が全世界に即座に配信されます。そして、社長の発言は20カ国ほどに翻訳されるのです。

24年4月にAstemoは、理念や行動指針となるミッション、ビジョン、バリューを制定しました。アステモには6つのバリューズがあり、国、文化、職種などを超えた価値観と判断基準を提供しています。それぞれの部門でディスカッションする機会も提供しています。

岡田譲治氏

最後になりますが、日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)に対して要望などはありますか。また、公認不正検査士(CFE)の資格を取ることの意義についてどのように考えていますか。

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米澤真理氏

私は公認内部監査人(CIA)の資格を持っているのですが、OBARA GROUPで内部監査の部門長になってCIAの勉強をしたところ、こんな面白い世界があるんだと。そしてその後、研修会やさまざまな部会に出るようになりました。この日本内部監査協会と、ACFE JAPANがもっと協力していけば、社会に対してより貢献ができるのではないでしょうか。米国では両者の連携が進んでいるように聞きますので、ぜひとも期待しています。

一方、いま、内部監査の人材確保の観点から、Astemoでも、もっとスペシャリストを採用したいと考えています。そういう意味では内部監査人材は売り手市場で、ジョブ型の職種として会社間の横の移動が進んでいます。こういう情勢の中、CFEやCIAといった国際資格を持っていると、ものすごく強みになると思います。資格を維持するためには研修などを定期的に受けることも必要で、資格そのものが、継続して知見をブラッシュアップしているという証になります。

不正をめぐる課題は“ネバー・エンディング・ストーリー”です。残念ながら、不正が完全になくなることはないでしょう。そのような中で、不正の手口は時代とともに変化しても、その本質は変わらないと思います。CFE資格を取ることで、そのような不正のメカニズムを体系的に学ぶことができます。

岡田譲治氏

ネバー・エンディング・ストーリー……私もその通りだと思います。本日は大変貴重なお話をありがとうございました。

 

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