logo_pcacfe2020_logo_stickylogo_splogo_pc
  • ACFE / CFEのご紹介
  • 研修・教材
  • 入会案内
  • 法人会員
  • お知らせ
  • お問合せ
  • CFEナビ
  • 会員ログイン
✕
  • Home
  • すべてのお知らせ
  • 理事長対談
  • ACFE JAPAN岡田理事長「公認不正検査士」インタビュー#3:南波裕樹・大成設備監査役「知らないうちに不正に加担させられる組織人を救いたい」
ACFE JAPAN岡田理事長「公認不正検査士」インタビュー#2:髙橋康文Miletos社長「不正検出の経費精算システムで企業の“割れ窓”を防ぐ」
2025年7月28日
お知らせ一覧

ACFE JAPAN岡田理事長「公認不正検査士」インタビュー#3:南波裕樹・大成設備監査役「知らないうちに不正に加担させられる組織人を救いたい」

2025年11月6日
nanba (1)
どうしたら不正は防げるのか――。わが国唯一の不正対策機関、日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)の岡田譲治理事長(元三井物産副社長CFO=最高財務責任者)が、さまざまなビジネスシーンで活躍する公認不正検査士(CFE)のフロントランナーの素顔に迫る本企画。

第3回は大成建設の元法務部長で、現在はグループの大成設備で常勤監査役を務める南波裕樹氏。若い頃にはゼネコン汚職などの不祥事に直面し、法務部でもさまざまな問題に取り組んできた。その後、監査役になってCFE資格を取得し、いまも学び続ける姿勢を守りながら不正に立ち向かっている。

nanba (3)

岡田譲治 氏


日本公認不正検査士協会 理事長

横浜国立大学卒業後、74年三井物産入社。2014年代表取締役副社長執行役員CFO(最高財務責任者)、15年6月常勤監査役(~19年6月)、17年11月公益社団法人日本監査役協会会長(~19年11月)。23年6月一般社団法人日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)理事長

このほか、太陽有限責任監査法人経営評議会委員、日本航空社外監査役、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議メンバー、日本取引所自主規制法人外部理事、日本電気社外取締役などを務める。

公認不正検査士(CFE)

nanba (4)

南波裕樹氏


大成設備株式会社(大成建設グループ)常勤監査役

東京大学大学院・法学政治学研究科(民刑事法専攻)修了。1984年大成建設入社。名古屋支店・営業本部などを経て95年法務部、2017年法務部長。20年6月大成設備常勤監査役に就任(現在に至る)。


監査懇話会理事、品質と安全文化フォーラム理事。コンプライアンス、製品不祥事に関する講演など、多数。


公認不正検査士(CFE)

転機となった1993年の「ゼネコン汚職」


岡田譲治氏

南波さんは企業不正や品質・検査問題に造詣が深いと聞いています。大成建設ではどのような部門を歩んでこられてきたのですか。

南波裕樹氏

みなさんが覚えているかどうか分かりませんが、1993年に仙台市長や宮城県知事らが東京地検特捜部に逮捕された「ゼネコン汚職」と呼ばれる事件がありました。これに大成建設も関わっていたのです。当時、私は副社長の秘書を務めており、特捜部から何度か事情を聞かれました。

正直に言うと、30年ほど前は、談合などについて「業界秩序のためにやむを得ない」「必要悪」と肯定する考えもありました。しかし、私自身が取り調べを受け、渦中に入ると「これは違う」と不正というものを真剣に考えるようになりました。

結果的に当時の副社長は逮捕されました。私も会社の配慮でいったん業務を離れることになり、大学院に入ることになりました。そこで民法や刑法など基本的な法制度を改めて学ぶ機会を得たのです。2年後に復職してからも法務部への配属となりました。

岡田譲治氏

会社の法務部に行かれたことで不正事案への対応や防止策について直接関わるようになった……数奇なことですね。

南波裕樹氏

ただ、懸命にコンプライアンス研修をしたのですが、それでも談合事件は続きました。法務部はそのたびに対応に追われ、「私は何をやっているのだろう」との感情に苛まされましたね。

岡田譲治氏

コンプライアンスを全社に浸透させることは容易ではありません。

南波裕樹氏

一方で会社も大きく変わろうとしていました。内定者の半分が入社を辞退した年もあったほどで、経営トップも「こんなことをやっていては会社が持たない」と考えました。そして、他のゼネコンとともに2005年に「談合決別」を宣言したのです。

宣言の後も、07年には名古屋地下鉄談合事件などがありましたが、この宣言が大きな転機になったことは間違いありません。最近は役所でも電子入札制度が普及し、業者間の接触が減るなどして談合すること自体が難しくなりましたが、いまも会社は「談合はしない」「談合はない」と強い意志を持っています。


板挟みになった現場による不正


岡田譲治氏

南波さんはメーカーの品質・検査不正の問題にも取り組んでいると聞いています。それにしても、この問題はなかなか収まりませんね。

南波裕樹氏

官民でつくる「品質と安全文化フォーラム」という団体に10年に入って研究を続けています。また、品質管理の向上を目指す日本科学技術連盟でも研究や講演活動をしています。

なかなか収束しないということですが、私の研究テーマもそこにあります。他社で一大不祥事に発展していることは知っているのに、それでも不正を続けている会社があるというのが実情でしょう。

大成建設でも23年に札幌市で建設中の高層複合ビルで品質不正があり、すべて取り壊して建て直すことになったのです。鉄骨を組み立てる精度などを改竄していました。担当者は上司に言えなかったようです。仮に話したとしても、「何とかしろ!」と言われそうな雰囲気を感じ取っていたみたいです。法令やスペックに違反があったとしても、最終的にビル全体で問題がなければいいという思いがあったようです。

岡田譲治氏

不正の原因はコストの問題ですか。

南波裕樹氏

工期に問題があったようです。そしてコミュニケーションにも問題がありました。確かに、施主や社内関係者と随時、密に話し合いながら建設工事を進めて行くと相当な時間がかかり、スケジュールに間に合わない。ですので、このような現場の板挟みから発生する不正について、企業はガバナンスを使ってどうやって防ぐのかを研究しています。

岡田譲治氏

自動車メーカーなどの品質・検査不正の報告書を読んで頻繁に出てくるのが、「法定の基準は厳しすぎる」とか、「(不正はしたが)事故は起きない、実際に起きていない」といった弁解です。一方で、規制する当局としても、基準は厳しいほうが責任を問われないで済む可能性が高い。ここに現場とのギャップがあります。

それにしても大成建設は、建築中のビルを壊して建て直す判断をしたのですね。ある意味、当然の決断とも考えられますが、どのような過程やスタンスがあったのでしょうか。

南波裕樹氏

まずは法的リスクの検討です。建築中のビルを解体した場合と、補正して建築を続けた場合の双方をシミュレーションします。会計上の特別損失や、株主への説明、株主代表訴訟の可能性などについてです。

とはいえ、一番重要なのは顧客との信頼関係です。解体せずに何とかビルを完成させ、保証書を出すというやり方も考えました。でも、そんな会社が発行する保証書を誰が信用しますか。「すべてを公表して一から建て直すことがベスト」と意見を出しました。経営者も同じ考えでした。

岡田譲治氏

1982年のことですが、ジンョンソン・エンド・ジョンソンで「タイレノール事件」と呼ばれるトラブルがありました。同社の解熱鎮静剤タイレノールを服用した人たちが亡くなったことが報告されたのですが、原因は不明でした。しかしその不透明な段階で、当時のCEO(最高経営責任者)は直ちにマスコミなど、あらゆるチャネルを通じて服用の禁止を呼びかけ、商品回収に動きました。批判もされましたが、その後も積極的に情報発信を続け、いまではビジネス上の危機管理のモデルケースとも言われています。

南波裕樹氏

現場から本社のラインを通じて社長に情報が上がる時、大事なことが届かないことがあります。報告者が社長に気を遣って勝手に「大丈夫だろう」と考え、狭い範囲の情報しか伝えないのです。一方で、職制上、法務部や監査役は社内のさまざまな情報を手に入れることができます。

実は、23年から大成建設が請け負った世田谷区役所本庁舎の建て替え工事の延期が問題になっていました。ややもすると現場は「なんとか頑張って工期を守ろう」と考え、延長を言い出せないことがあります。優秀な技術者であればあるほど、自分の能力や“引き出し”を活用して乗り切ろうとしてしまうものです。

だから、何かあった時、業務のラインとは違う監査役や法務部などがいち早く現場の苦境を検知し、サポートしなければと思っています。

nanba (5)

不正はゼロにはできないからこそ「早期発見」


岡田氏

監査役と現場の関係で言うと、最近、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行する会社が増えています。監査等委員は常勤が義務付けられていないため、全員が非常勤というケースもあるのです。常勤が必要な監査役と比べ、非常勤の監査等委員については情報収集力という点で危惧しています。それにしても、不正というのはなかなかゼロにはできないものですね。

南波氏

私自身は、不正やそのリスクはゼロにはできないと考えています。本人たちにはそのつもりがなくても、後付けで「不正」になってしまうこともあります。法務人材の一人として故意に不正に手を染める人を許すことはできませんが、知らないうちに一線を踏み外している人は同罪なのでしょうか……。そういう人を自分の手で戻してあげたいのです。

そのためにも、不正を早期に見つけることが何より重要です。不正の予防というのは、仮に不正が起きてもすぐに立ち直ることができるようなガバナンスがあることで、いち早く不正の芽を探知できる仕組みのことでもあります。

それにはモノを言いやすい環境も大事で、大成建設では、24年7月に社長直轄の「風土改革推進部」を設置しました。改革に取り組む社員を公募したところ、約9000人の社員がいますが、やりたい人がたくさんいて、314人が手を挙げました。「人生を尊重する企業風土」を実現するために本格的に動き出しています。

岡田氏

不正を探知して是正する仕組みとして内部通報制度が注目されています。これについてはどうようにとらえていますか。

南波氏

内部通報する人には、いろんな動機があると思います。内部通報制度があると社員の心理的安全性が高まるという考えがありますが、私は実は「本当かな?」と思っています。やはり、一番大事なのは直属の上司がきちんと話を聞いて問題解決に動く体制です。内部通報に頼り過ぎるのは正常ではないでしょう。

大成建設グループでも通報制度はありますが、外部の弁護士に通報が行くケースが多いようです。社員アンケートを見ると、通報先として社内を選ばない理由として、自分に悪影響があることを怖がっているようです。私の経験でも、通報内容を検討する会議などで「誰が言ってるんだ」と発言するような人もいました。内部通報制度を実際に動かすと、これはなかなか難しい。

第三者委員会に参画できれば……


岡田 氏

ところで、公認不正検査士(CFE)の資格をとったのはどんな理由からですか。

南波 氏

大成設備の監査役になったのは20年6月で、コロナ禍がもっとも激しい時期でした。比較的時間も出来た時に知人の弁護士から勧められて、受験勉強を始めたのです。

nanba (2)
岡田 氏

日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)に何か要望はありますか。

南波 氏

ひとつ希望があります。企業で不祥事が起きると、第三者委員会や特別調査委員会が立ち上がります。委員に充てられるのは弁護士が多いようですが、その時、CFEとしてメンバーに入ることができないかと思っています。委員でなくても、調査要員でもいいんです。企業での実務経験に加えて、資格習得のために学んだヒアリング技術などを生かせると思います。

岡田 氏

実感として資格は役立っていますか。

南波 氏

CFEの肩書で直接、利点があったわけではありませんが、不正に関する基礎的な知見のほか、監査役としてヒアリングの技術など、不正というものを考えるうえでベースとなっているように思っています。弁護士との会話でも、CFEであることが分かると、話のレベルが上がってくるように感じますね。

それにしても、CFEにはいろんな属性の人がいて、さまざまな層の人がいます。名刺に「公認不正検査士」と書いていることをきっかけとして、いろんな人と会話が始まることもあります。これが楽しい。(笑)

そして、何と言っても国際資格であることは大きいですね。私は、23年6月にシアトル、24年6月にラスベガスであったACFE本部のグローバルカンファレンスに自主的に参加しています。そこで、不正に関する問題は万国共通だと感じました。
品質不正は日本特有の問題かなと思っていましたが、米国でも議論されていましたね。組織不正では、日本語でいうところの「面従腹背」についても語られていました。内部通報の課題も一緒です。なぜ通報する人が保護されないのかと。

今後も日本はもちろん、海外のカンファレンスにも参加するつもりです。

岡田 氏

それはありがたい!(笑) 今日は突っ込んだお話を聞けて、非常に勉強になりました。ありがとうございました。


 

Pick UP

  • Newsヘッドライン
  • 犯罪学コラム
  • 最新米国トピックス
  • 事例で学ぶ有効な不正対策
  • 理事長対談・理事コラム
    • 理事長対談
    • 理事コラム
  • イベントレポート

おすすめコンテンツ

  • CFEナビ
  • Youtube チャンネル
  • 不正対策eラーニングe-Fraud
  • 不正対策ウェブセミナー
  • メールマガジン登録
ACFE JAPAN / 一般社団法人 日本公認不正検査士協会
ACFE のご紹介
  • ACFEのご紹介
  • ACFE 本部 組織概要
  • ACFE JAPANのご紹介
  • ACFE JAPAN 入会案内
  • ACFE JAPAN 法人会員
  • ACFE JAPAN 会員活動
  • 事務局からのお知らせ
CFE について
  • CFE について
  • CFE の概要
  • CFE 資格要件
  • CFE 資格試験
  • CFE資格認定申請
  • CFE 資格維持
研修・教材
  • 研修・教材一覧
  • ウェブラーニング
  • CPE クイズ
  • 不正検査士マニュアル
  • 入会教材セット
  • カンファレンス(年次総会)
  • 研究会のご案内
  • 会報誌「FRAUDマガジン」
  • 資料ダウンロードライブラリ
  • 不正対策関連書籍
規約等
  • 定款
  • ACFE JAPAN参加規約
  • 特定商取引法による表記
  • プライバシーポリシー
  • SNS コミュニティガイドライン
  • 銀行口座のご案内
  • 請求書・領収証のご案内
  • 業務委託について
会員ログイン

会員ログイン

会員ライブラリ

サポートセンター

よくある質問

お問合せ

Copyright © ACFE JAPAN. All Rights Reserved.