第 28 回 ACFE 年次総会レポート(3 日目)

第 28 回 ACFE 年次総会(The 28th Annual ACFE Global Fraud Conference)レポート
by ACFE JAPAN 理事長 濱田眞樹人
於:Music City Center, Nashville, Tennessee

カンファレンス レポート

3 日目 レポート(6 月 21 日 水曜日)

朝食会の様子 1
朝食会の様子 1

朝 7 時半の集合は時差ボケの身には少々辛いのですが、朝食をとりながら多くの国の会員と交流できる良い機会です。

 

朝食会の様子 2
朝食会の様子 2

音楽の街らしく、朝食のテーブルにも楽器が飾られています。

 

Walt Manning による講演の様子
Walt Manning による講演の様子

最終日 3 日目の分科会は、調査会社 Investigations MD の代表である Walt Manning(ウオルト・マニング)による"Untraceable Links: Technologies Used by Fraudsters to Hide Their Tracks(追跡不能なリンク:不正実行者によって隠されるトラック)"に参加しました。マニング氏はダラス警察に 20 年以上勤務した後、調査、デジタル・フォレンジック、e ディスカバリーを専門とする会社を経営してきました。彼の講演は、最近の不正実行者が使用する、一般的な携帯端末などの通信手段と違う、匿名性と暗号度の高い通信手段に関するものでした。IP アドレスが分からない Tor network や、暗号度が高い I2P network や SAFE network、Tails や Whonix と呼ばれる OS(オペレーティングシステム)、Blackphone という端末など、少々専門性が高すぎる内容でしたが、犯罪者もテクノロジー時代に入っており、通信も機会も日々進歩を遂げています。不正調査に係る者はそれについていかねばならない時代なのだと痛感しました。

 

David Cotton による講演の様子
David Cotton による講演の様子

3 日目の分科会後半は、Cotton & Company LLP の Chairman である David Cotton(デビット・コットン)による"The ACFE and COSO: The Past, Present and Future of Fraud Risk Management(ACFE と COSO:不正リスク管理の過去・現在・未来)"に参加しました。昨年の ACFE JAPAN カンファレンスでも取り上げたように、2016 年 10 月に COSO(Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission)と ACFE は、不正リスクを考慮するための"Fraud Risk Management Guide as a supplement to COSO's Internal Control Integrated Framework (2013 Framework)(不正リスク管理ガイド)"を公表しました。2013 年に改定となった COSO Framework における 17 原則の 8 番目で"The organization considers the potential for fraud in assessing risks to the achievement of objectives.(組織体は目的の達成に関連するリスクの評価において、不正の可能性について検討する。)"と、有効な内部統制のための不正リスクへの対応が明記されたことに対応したものです。2008 年の IIA/AICPA/ACFE の"Managing Business Risk of Fraud (MBRF)"の改定の形を取りましたが、25 名のタスクフォースが作業を行っており、コットン氏や昨年の ACFE JAPAN カンファレンスでこの『不正リスク管理ガイド』の解説をしてくれた Toby Bishop(トビー・ビショップ)氏がメンバーでした。コットン氏の講演は、これまでの不正リスク管理ガイドの作成にいたった必然性とも言える経緯を説明したものでした。ACFE JAPAN では、昨年、Executive Summary を日本語に翻訳して会員にお届けしましたが、今年は完全版の翻訳書が日本公認会計士協会出版局から出版される予定になっています。

 

カンファレンスの最後を締めくくるゲストスピーカーは James Scalzo(ジェームス・スカルゾ)です。残念ながら移動の時間の関係で聞くことができませんでしたが、スカルゾ氏は、二つの金融機関において商業貸付担当として勤務していた間に 100 万ドル以上の不正な貸し付けを行い、2013 年に詐欺とマネー・ロンダリングの罪で有罪となり、35 か月の禁固刑と 3 年間の保護観察の罪に服しています。ACFE の総会では、毎年 Convicted Fraudster(有罪判決を受けた不正実行者)を呼び、犯罪者が何を経験したのか、そして何を考えたのかを聞く機会を作ります。ACFE は Convicted Fraudster には報酬を支払いませんが、多くの不正実行者による経験や教訓の話を共有しようとする姿勢には感心させられます。

 

今回のカンファレンスでも、CPE(継続的専門教育)の報告はモバイルアプリをダウンロードして、セッション会場ごとに発表される Pin Code を入力して行います。

 

第 29 回 ACFE 年次総会の案内ページのキャプチャー
第 29 回 ACFE 年次総会の案内ページのキャプチャー

次回の The 29th Annual ACFE Global Fraud Conference は Las Vegas の Mandalay Bay Resort and Casino において、2018 年 6 月 17 日から 22 日の日程で開催される予定です。日本からも一人でも多くの会員に参加していただきたいと思います。

 

2017 ACFE Fraud Conference Asia-Pacific の案内ページのキャプチャー
2017 ACFE Fraud Conference Asia-Pacific の案内ページのキャプチャー

今年の 9 月 17 日(日曜日)から 19 日(火曜日)には The 2017 ACFE Fraud Conference Asia-Pacific が香港で開催されます。一昨年、昨年とシンガポールでの開催でしたが 2 年ぶりに香港に戻ってきます。日本からは比較的近いので、アジア太平洋地域で事業展開している企業の会員は是非参加して情報交換をすべきだと思います。

 

第 8 回 ACFE JAPAN カンファレンスの案内 (抜粋)
第 8 回 ACFE JAPAN カンファレンスの案内 (抜粋)

そして、今年は、10 月 6 日(金曜日)に東京で第 8 回 ACFE JAPAN カンファレンスが開催されます。今年のテーマとして「不正調査とAI(人工知能)」という、内部統制、監査、そして不正調査などに携わる我々にとって大変興味深いトピックを選びました。是非ご参加ください。

 

Where Heroes Unite のキャプション
Where Heroes Unite のキャプション

最後にこのカンファレンスのために作成されたビデオを紹介して筆を置きます。

28th Annual ACFE Global Fraud Conference: Where Heroes Unite (YouTube)
http://www.youtube.com/watch?v=JqvMJKkvq7I

(報告者:ACFE JAPAN 理事長 濱田眞樹人)

カンファレンス レポート

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