2017 ACFE Fraud Conference Asia-Pacific 2 日目 レポート

2017 ACFE Fraud Conference Asia-Pacific レポート
by ACFE JAPAN 理事長 濱田眞樹人
於:Kowloon Shangri-La, Hong Kong

カンファレンス レポート

2 日目 レポート(9 月 19 日 火曜日)

ネオン街の写真(不夜城のイメージ)
カンファレンス 2 日目のタイムテーブルと濱田

2017 ACFE Fraud Conference Asia-Pacific の 2 日目も 7:30 からのネットワーク レセプションで始まります。朝食から夕方までスケジュールが続き、一日中冷房のきいた会場に缶詰めになるのでジャケットは必須です。

 

K. F. Lam 氏による基調講演の様子 (会場内)

朝の General Session は、United Overseas Bank 香港支店のエグゼクティブ ディレクターでコンプライアンスの責任者である K. F. Lam 氏の基調講演です。彼は銀行での監査部での勤務後、15 年以上も香港をベースとしていくつかの銀行グループにおいて、アジア全域の反マネー ロンダリングやテロ資金対策に努力してきたそうです。法学修士の学位と、CPA、CIA、そして CISA という資格を持つ彼のもう一つの資格として、Certified Anti-Money Laundering Specialist(公認 AML スペシャリスト)というものがあるのを初めて知りました。

彼は、規制機関の技術革新の中での挑戦について解説し、最新の技術が可能にする分析について(RegulatoryとTechnologyを結び付けて)Reg-Tech と呼んでいました。香港の Enhanced Competency Framework on Anti-Money Laundering and Counter-Terrorist Financing(ECF on AML/CFT:資金洗浄及びテロ資金対策に関する能力強化フレームワーク)のトレーナーである Lam 氏の強い信念を感じさせる講演でした。

 

Edward Epstein 氏による分科会の様子 (会場内)

午前中の分科会は Troutman Sanders LLP 法律事務所の Managing Partner の Edward Epstein 氏による「Recent Legal Developments in Cybersecurity in the People's Republic of China」です。彼は、国際的企業を顧客として、中国における多くの M&A や JV のデューデリジェンスの経験を持ち、中国参入や投資の戦略の立案と実行を助けてきました。また顧客の反腐敗行為や訴訟に関する行動規範作成や調査も行ってきました。

個人情報の保護は世界的な問題ですが、国ごとに異なったアプローチが取られ、特に中国においては、データ保管や保護に関する法執行や義務の変化に留意する必要があります。犯罪捜査以外では個人情報の入手は非常に厳しく規制されています。ここ数年の法規制の激しい変化について詳しく解説し、ケースを披露してくれました。

 

Bruce Dorris 氏による基調講演の様子 (会場内)

昼の General Session は、毎年恒例となりましたが、米国 ACFE 本部の VP である Bruce Dorris 氏が登壇して「Inside the Fraudster's Mind」の基調講演を行いました。Dorris 氏は ACFE の Program Director として、米国やアジアでのカンファレンスの企画や総合司会を務めています。

ルイジアナ州の検察局でキャリアをスタートした彼は、ACFE 創始者の Joseph T. Wells 博士が当初に考えた不正と闘う専門家の見本のように、弁護士であり CPA です。そして、ACFE JAPAN の運営の大事な相談役でもあります。

講演の内容は犯罪心理学を中心とした基本的なものでしたが、Dorris 氏が ACFE 全体の新しいリーダーシップとして活躍していることをしっかりと窺わせるプレゼンテーションでした。

 

Diana Ngo 氏・Natalie Kwan 氏による分科会の様子 (会場内)

午後の分科会はコンサルティング会社の Blackpeak の Associate Director である Diana Ngo 氏と Director of Research である Natalie Kwan 氏による「Asset Search Techniques and Experiences in Asia-Pacific」を選択しました。彼女たちは自身のコンサルティング経験から、アジア諸国、とくに香港とベトナムで行われる資産の調査・査定の違いと注意点に関して詳細な解説とケース スタディを行いました。

訴訟準備、債権回収、破産手続、親族間紛争、刑事手続などの様々な目的で行われる資産調査に関して、資産の種類、所有形態、移転、隠し方、発見方法、評価方法などを専門家として解説し、調査の計画と詳細な記録が重要であることを強調していました。特に、メディア、証券取引所への報告書の情報、登記情報、金融機関の信用情報等を検索し、そしてその親族へと情報を手繰り寄せていく調査の例は極めて興味深いものでした。

 

Beth Junell 氏による基調講演の様子 (会場内)

カンファレンスの最後を飾る Closing General Session は、パネル ディスカッション「Knowing When to Bring Experts into Your Fraud Investigation」です。FTI Consulting 香港の Beth Junell 氏をモデレーターとして、Wal-Mart Stores, Inc. の James Pateman 氏、Citi の Alex Scott 氏、コンサルティング会社 Mazars の調査人で ACFE HK の Director でもある Annie Chen 氏、そして、初日に基調講演を行った香港警察の Lawrence Wong 氏らがパネリストです。

不正調査、訴追、民事訴訟など事件によって様々な結果が予想されるなかで、いつ外部専門家による調査を始めるのか? 誰が外部専門家を雇うのか? 緊急性や重要性などに関する経営者の思惑、容疑者のクラス(地位)、コスト ベネフィット(費用対効果)、調査の客観性や有効性の担保などの視点からの興味深い議論になりました。Multinational(多国籍)企業や調査人だけではなく、法執行側から一人パネリストが入ったのも興味深かったです。しかしながらカンファレンスの最後のパネル ディスカッションの成否は、モデレーターの技量にも大きく左右されるのだと感じました。

 

Bruce Dorris 氏による閉会宣言の様子 (会場内)

最後はもう一度 ACFE 本部の Bruce Dorris 氏により閉会宣言がなされました。ACFE Fraud Conference Asia-Pacific は来年も秋にシンガポールで開催される予定です。日本からも沢山の会員に参加していただきたいと思います。

このカンファレンスでは、CPE(継続的専門教育)報告書を提出して 2 日間で監査、倫理、専門知識と実践などに関する 80 分のセミナーを 10 セクション受講し、16 時間の CPE Credit を取得することができました。

 

スポンサーのロゴが印刷されたバナー

写真はカンファレンスをサポートしていただいたスポンサーです。

 

第 8 回 ACFE JAPAN カンファレンスの広告

10 月 6 日の金曜日には、東京の御茶ノ水ソラシティ カンファレンス センターにおいて第 8 回 ACFE JAPAN カンファレンスを開催します。今年は、多くの方が注目している AI(人工知能)をテーマに取り上げ、CFE の貢献を探ります。基調講演には『超 AI 時代の生存戦略』の著者でメディア アーティストの落合 陽一 氏を招へいしました。また、各分野で活躍されている方々の講演やパネル ディスカッションにより企業不正の防止と発見の将来について掘り下げていきます。多くの企業不正と闘う仲間とお会いできることを楽しみにしております。

 

(報告者:一般社団法人日本公認不正検査士協会 理事長 濱田 眞樹人)

カンファレンス レポート