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事例から学ぶ:#053 CFEが企業を倒産から救う方法

2013年8月6日
ボブは、内部監査部門も職務の分離もない会社の支店の上級管理職であった。強欲なボブは、上司であるその支店の統括責任者とは親友であった。ボブが起こした不正により、会社はあやうく倒産するところであった。以下は、会社が何十万ドルもの損失を免れた方法についての記述である。
 
 
上級管理職は、社内の統制をかいくぐりやすく、勤務先の会社を倒産寸前まで追い込むことができてしまう。「ボブ」は、欧州に本社がある国際的な技術コンサルティング会社のとある支店の副統括責任者であった。勤務先の支店には内部監査部門が設置されていなかったため、ボブは2年間でおよそ25万ドルにも上る虚偽の現金の支払いを行うことができた。本社の内部監査人は、およそ年に二回の割合で支店を往査して、技術上の規則及び手続に対する準拠性を検証することはあっても、実際の財務監査を行ったことはなかった(副統括責任者は米国の最高業務執行責任者(COO)に相当する。)
 
支店の統括責任者(米国の社長又は最高経営責任者(CEO)に相当)は、会計知識も財務知識もないに等しく、虚偽の支払いをうっかり、承認していた。昔からの友人でもあることから、ボブを信頼しており、彼自身の承認なく支払いを許可していた。
 
 
副統括責任者の虚偽の支払い
DEPUTY DIRECTOR PRESIDENT’S FALSE EXPENDITURES
 
既存の顧客から新たな仕事が依頼され、統括責任者は、ボブに、プロジェクト全体を管理させた。支店の役員会(米国流の取締役会システムを導入している)により、ボブは当該プロジェクトに係る財務業務を監督する権限を与えられた。
 
ボブは、支店の銀行口座から直接現金を着服するのはあまりに危険と考えたため、虚偽の現金支払いの手口を創出した。ボブは、ある特定の通常は第三者に対する架空の請求書を会計部門に提出した。ボブは虚偽の日報と実在するフリーランスのコンサルタントに対する料金を作成し、偽造した請求書と共に会計部門に送付していた。そしてボブは、表向き前述した第三者あての小切手を回収していた。
 
ボブは、全権限を有していたので、捕まらない自信があった。実際、ボブは当該プロジェクトについては、統括責任者以上の権限を有していた。
 
ボブは、当該プロジェクトの費用支払い用口座からも現金を窃取していた。コンサルティング料金、プロジェクトの費用並びに旅費及び交際費をたやすく操作することができ、架空の名前と料金計算とが記載された虚偽の請求書を作成することなど造作なかった。厚かましくも、事務所のコンピュータとプリンターとを用いて偽の裏付け書類まで印刷していた。ボブにとっては、実際には発生していない旅費及び交際費に係る裏付け書類を作成することも、ホテルやレストランを電話帳から見つけて虚偽の請求書を作ることなど造作なかった。ボブは担当者であり、誰にも監視されているわけでもなかったため、自身の成果物を持って逃亡することができた。
 
 
 
警告 RED FLAGS FLYING
 
以下は、支店の経理担当者が気付くべきであった警告である。
 
  1. 強固な内部統制不足が招く、賢い従業員が不正に手を染める機会。
  1. 他部門による勢力の均衡を欠く「独り舞台」的な社風により、内部による不正の危険性が一層高まる。
  2.  経営陣が「個人的関係」主義を導入すると不正が発生しやすくなる。
  3.  不正発生の主たる理由は常に職務分離の理不尽さや、不徹底である。
  1. ボブは、複雑な裏付け書類を必要としない勘定、例えばコンサルティング料金、プロジェクト費用並びに旅費及び交際費を主に利用していた。
 
不正に手を染めて最初の6か月で、ボブは数十万ドルを着服した。結果として、当該支店では運転資金に事欠くようになり、経営陣は支店を運営し続けるために最終的には欧州の本社から資金を借りざるを得なくなった。これにより、支払い能力に懸念が生じる一因となってしまった。というのは、この会社ではユーロ建てで高額の利息を支払う必要が生じたためである。さらに、会社は、当期の投資及び教育訓練計画を撤回せざるを得なかった。会社はかろうじて倒産の危機を免れたものの、ボブの行為により将来の発展に対して甚大な悪影響が生じた。
 
 
 
ボブの不適切な裏付け書類
BOB’S INADEQUATE SUPPORTING DOCUMENTATIONS
 
ボブが行った不正な現金支出から、さらに何点かの警告を認めることができる。ときおり、裏付け書類なしで、又はメモ程度の紙片を添付して費用を請求していた。外部監査人による年次監査を心配して、統括責任者はときおりこの件をボブに指摘していた。だが、常に当該費用について論理的な説明をし、外部監査人に目をつけられることはないと統括責任者に断言していた。さらに用心深いことに、プロジェクト費用について外部監査人から質問があれば、直接彼に尋ねさせるように経理部門に指示していた。
 
裏付け書類にはいくつか矛盾があった。たとえば、裏付け書類上ではコンサルタントは3日間しか稼働していないのに、ボブは7日分の料金支払いに係る虚偽の請求書を提出していた。もしくは、業務が行われていない期間、地域でのコンサルタントの宿泊及び食費支払を請求していた。支店の経理部門では前述した矛盾に気づくまいと高をくくっていた。
 
ボブは、本当に支払った証票類の支払いも、裏付け書類を添付して経理部門に依頼していた。ボブは、以上の証票類や裏付け書類はプロジェクトの変更により「調整の必要がある」と話し、業務について既に報告されている期間と動員されたコンサルタント数を改ざんした。その後、何も説明せずに以上の証票類を経理部門に差し戻した。経理部門が問い合わせると、ボブは「技術的問題」により調整したと回答するばかりであった。
 
ボブは、経理部門の保管室を課業時間後又は週末に訪れて、疑わしい裏付け書類を全て処分し、不正の痕跡を消していた。
 
 
 
ボブの 異常な挙動 BOB’S UNUSUAL BEHAVIOR
 
ボブは、支払いに関する質問をされると、奇妙に振る舞うことがあった。経理部門との会議を直前になってキャンセルしたり、彼の秘書は、ボブは会議に出席する都合がつかないと頻繁に答えていた。いよいよボブが会議に出席しても、追加コンサルタント費用、チケットの値上がり等、常に予算額超過支出に対して納得のいく説明をし、統括責任者から質問を受けることはなかった。 スタッフミーティングにおいて経理部門が特定の費用支払いについて疑問を呈すると、ボブは常に腹を立てた。担当するプロジェクトの財務業務に全ての責任を負っており、そのプロジェクトの最終目標を達成するつもりだと主張した。ボブは、社内記録の保全がなされていないとして経理部門における書類の紛失を責め、これにより、経営管理面での経理部門の業績をおとしめた。 
 
会社から昇給もボーナスも支給されていないにもかかわらず、ボブは当該プロジェクト発足後2~3か月後に豪華な新車を購入していた。それほど豪華な新車を買えたことを社員に不思議がられたが、口出しするな、とボブはきっぱり言った。
 
したがって、不正を働くことによってボブの挙動にまで影響が及んだと断定できる。役職員(その他含む)が以下に該当するときには、注意が必要である:
 
  • プロジェクトの財務状況を尋ねる者を避ける
  • 普通の状況下で理不尽に怒りを顔に出す
  • 詳細な釈明はできないにもかかわらず全てうまくいっていると言う
  • 着服を隠蔽し分不相応な生活ができるように、責任転嫁先を見つける(ボブにとっての経理部門のように)
 
教訓 LESSONS LEARNED
 
資産の横領に係る不正を防ぐための適切な抑制と均衡とを持たない組織は、高い代償を払い、且つ倒産のリスクさえ負わなくてはならない。CFEと内部監査人とは、制御不能に陥る前に横領犯の動機と不正の機会とを調査し、かかる不正を予防し、見抜くことができる。
 
横領犯の動機となる要因には、経済的困窮、贅沢な暮しへの願望、仕事上の不満、ギャンブルへの依存、私利私欲への要求、システムを出し抜く願望及び家族又は社内でのプレッシャーがある。内部統制上の不備、適切な監視のない一個人又は集団による経営陣支配、取締役会又は監査委員会による監視が有効でない、流動性資産の存在、並びに経理及び通信システム有効でない、といった機会を組織が与えてしまうと、不正が起こりやすくなる。
 
従業員による資産の不正流用を、CFEが調査する際に用いることができる方法を以下に示す:
 
 
1.組織構造を検証する。
 
職務の分離及び取締役会又は監査委員会が組織の業務を監視する方法も含む全社的内部統制システムを理解することが重要である。
 
2.組織における主要人員を特定する。
 
かかる分析により、財務上及び資産管理権限を有している者、取引や支払いを承認できる者、並びに財務業務及び取引に直接関与している者、を特定できる。主要人員には、会社のオーナー、役員会の構成員、経理担当者、簿記係及びその他の財務スタッフがふさわしい。
 
3.組織における主要人員の疑わしい挙動に注意する。
 
リスクの高い分野について洞察を収集できるように、柄にもない行動をする者の疑わしい行動に着目する。不正の疑いについて詳細及び手がかりを見つけるかもしれない。
 
4.組織の出金を精査する
 
疑わしい取引に関連した支払を特定することにより、不正の手口を明らかにするのに役に立つであろう。以下の点を確認することで調査することもできる。
 
  • 第三者に対する支払金の詳細。
  • 不正の疑惑がある期間内における、組織として異常なまでの額の支払の有無。
  • 現金又は銀行小切手による費用や出金の有無。
  • 役務に対する支払の有無。
  • 旅費及び交際費の払い戻し方法。
 
5.裏付け書類の不正を判断する
 
裏付け書類の不足、矛盾及び不審な改変を検証することにより、不正のパズルを解くのに役立つであろう。
 
6.組織の記録保管システムを評価する
 
裏付け書類における不正を見つけるために記録保管システムを評価する。また、ファイルや記録の保全に係る方針及びファイルに直接アクセスする権限を持つ関係者の一覧表を精査する。
 
7.分析的監査を全てについて行う
 
これは、出金勘定の関連性を理解しやすくする。特定の支払いは他の支払いと相互に関連しているであろう。したがって、不正検査士は特定の費用間の異常な関係を発見しさらに分析することができ、これにより、着服の発見に至るかもしれない。コンサルタントを例にあげるとすれば、現場での作業が減少を受けて、交通費、宿泊費及び食費に係る支出も減少することになる。
 
 
本社が新たに導入した要件 NEW HEAD OFFICE REQUIREMENTS
 
当支店がいくつかの進行中のプロジェクトで巨額の損失を被った後、本社はついに財務検証を行った。本社は規定外の経理実務と強固な財務統制が欠落していることとを発見した。ボブと統括責任者は解雇された。
 
今では、新任の統括責任者がプロジェクト関連費用の全てに同意の上承認することになっている。経理部門はプロジェクトの財務業務に自由にアクセスできなければならない。支店で進行中のプロジェクトの財務状態を定期的に更新し本社に報告しなければならない。支社は定期的に支店を往訪し、経理及び財務実務を検証している。
 
 
インドラ ディジャジャ ウタマ(Indra Djaja Utama, CFE, CMA, CTP, CIA)
 
 
 
コラム
請求書スキーム発見方法を組み合わせて用いると最も有効
BILLING SCHEMES DETECTION METHODS WORK BEST WHEN COMBINED TOGETHER
 
購買関連不正には多数のスキームが存在し、発見方法もまた非常に多くある。ほかのものと組み合わせて用いることによりかかる発見方法は最も有効となる。これにより、内部統制上の異常及び弱点が指摘されることとなろう。
 
分析的監査 Analytical Review
 
種々の総勘定元帳勘定の検証により、通常ではない又は予想外の事象が明らかになることがあるかもしれない。例えば、純売上高と関連付けながら棚卸資産の購買を比較すると、売上の度合いに対して購買の度合いが高すぎたり低すぎたりすることを示すかもしれない。これは警告であり、購買関連スキームか、売上の架空計上スキームかをそれぞれ示唆するかもしれない。
 
もう一つの分析方法は、過年度の棚卸資産の購買を当期のものと比較して、過大支出又は二重支出スキームを発見する方法である。
 
分析的監査は多額の不正スキームを発見するのに最も有効であり、異常がたちどころに明らかになるであろう。このほかの発見方法は、全体として財務諸表とあまり大きく関わらない不正スキームに対してより一層有効である。不正の程度を問わず、原資料の精査は必要であろう。
 
コンピュータ支援分析的監査 Computer-assisted Analytical Review
 
不正対策ソフトウエアにより調達又は購買機能における異常なパターンの認識に役立ち、購買活動について異常なパターンを認識するためのマトリックスを提供することができる。以下は三種の不正スキームの分析と、これに対応するコンピュータ支援発見方法である。
 
不正のスキーム 発見方法
架空納入業者
納入業者と社員との住所の一致
同じ所在地に複数の納入業者が存在
所在地が郵便私書箱のみの納入業者
二重支払
通常とは異なる又は「1回限り」の追加料金あり
納入業者の社員が自社の社員の親族
通常以上に高いクレーム率
特定の納入業者に対する苦情
高値及び/又は低品質
利益相反

 

統計的サンプリング Statistical Sampling

 
棚卸資産と同様に、購買に係る原資料を統計的にサンプル採取することで、不正を調査することもできる。特定の属性をテストするために統計的サンプルを抽出してもよい。本発見法は、架空の納入業者のようにただ一つの属性が疑われる場合に特に有効である。郵便私書箱の住所を全て一覧表にすることにより、架空の納入業者を明らかにできる可能性がある。
 
 
 
納入業者又は外部からの苦情 Vendor or Outsider Complaints
 
納入業者又は外部からの苦情で雇用主又は会社に不正スキームが暴かれることがある。顧客、納入業者及び他者からの苦情を受けることで、さらなる調査が可能となることから良質な不正発見手段となり得る。
 
 
 
現地査察 Site Visits
 
現地査察を行うことで、所在地にかかわらず、内部統制の実態が明らかになるであろう。
 
 
 
サンプル監査プログラム Sample Audit Program
 
以下の部分監査プログラムは、有形資産に係る請求書スキームに対する兆候を発見するのに有用であろう:
 
  • 購買部門の有無。存在する場合には、経理部門、荷受部門又は発送部門からの独立性も確認。
  • 各部門長が購入請求書を承認後に購入されているか?
  • 全ての購入に対して納入業者に送られた注文書によって購入されているか、又は既定の限度額を超えたものに対してのみ行われるか?
  • 注文書には、品目、数量、値段、支払条件、配送条件及び日付の詳細が明記されているか?
  • 未納入の購入注文リストは、保存され定期的に検証されているか?
  • 注文書には予め通し番号があり、定期的に確認されているか?
  • 依頼人は承認された納入業者のリストを保持しているか?
  • 商品購入が、競争入札価格が確定後に行われているか?その場合において、競争入札価格は全ての購入に対して確定しているのか、それとも既定の上限金額を超えたものに対してのみ確定しているのか?
  • 全ての受領記録は保持されているのか?
  • 荷受部門は受領した全ての商品に対して受領書を用意するのか?もしそうであるなら、受領書は、1)全ての商品に用意するのか、2)注文書のある商品に対してのみ用意するのか、3)番号をつけ替えてあるか?
  • 購入機能と荷受機能とは請求書の処理、買掛金及び総勘定元帳を扱う機能から分離されているか?
  • 関連した債務が記帳される前に納入業者からの請求書、受領書及び注文書の内容が合っているか?
  • 現金払いで処理される前に、購入履歴は購入記録簿又は証憑記入帳に記録されているか?
  • 責任者が、請求書が転記される適切な総勘定元帳勘定の区域を指定するか?
  • 予算の執行か?もしそうであるなら、予算は責任者によって承認され、実際の支出は予算額と比較され、差異は分析・説明されているか?
 
「不正検査士マニュアル」(2010)より一部改変した
公認不正検査士協会、テキサス州オースチン
 
 
 
 
 
 
 

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