日時:2019年6月24日(月)~26日(水)
場所:テキサス州オースティン
メイン カンファレンス最終日の分科会は、ACFE 本部の理事で、世界最大の資産運用会社ブラックロック (BlackRock) 社で副社長を務める Emily Irving 氏による “Integrating Fraud Examiners into Third-Party Risk Management”(取引先のリスク管理への不正検査士の融合) を聴講しました。
自社の取引先だけではなく、その取引先がどのような企業と取引しているのかを把握すること、取引先に関するリスク管理プロセスを策定する重要性が述べられました。
メイン カンファレンス最後の分科会は、ACFE 本部の理事で、油田開発大手シュルンベルジェ (Schlumberger) の汚職防止・不正対策部門のマネージャーである Ryan C. Hubbs 氏による “FRAUD PREVENTION AND DETECTION - Cost of doing the right things”(不正の防止と発見 ~正しいことを行う代償~) を聴講しました。
「人はなぜ正しいことをしなければならないのか?」という問い掛けから始まったこのセッションでは、内部通報者にのしかかる負担に関する課題が挙げられました。内部通報者には、会社からの報復だけでなく、社会人としてのキャリアの喪失もあるような現状であり、いかに不正と闘うべきかについて論じられました。
どこの国でも内部通報者に対する冷たい仕打ちがあるということに悲しい気持ちになりました。
メイン カンファレンスの最後は、多くの参加者が心待ちにしている恒例の「有罪判決を受けた不正実行者」による講演です。今年は、銀行で顧客のお金を横領して有罪判決を受けた Tom Hughes 氏のお話を聞きました。
CFE 教育部門の責任者であるジョン・ギル (John Gill) 氏がインタビュアーとして、不正実行に至った動機や環境 (機会)、当時の心理的状況について尋ねました。彼は質問に対して、率直に答えていきます。
Hughes 氏はお金を盗み続けた理由として、「そこに機会があったから」と答えました。罪悪感はあまりなく、そこにお金があり、盗る機会がたくさんあったから、ということでした。
不正のトライアングルの構成要素のひとつ「正当化」で考えると、彼は「機会があったこと」を他人のお金を盗んでも良いと正当化したのではないかと感じました。
講演のレポートもあわせてご覧ください:
3 日目 基調講演:不正実行者が初めて盗んだ金銭がより大金へと変わっていった経緯
メイン カンファレンスの終了後に、カンファレンス会場からタクシーで 5 分ほどのところにある ACFE 本部オフィスを訪ねました。
ACFE 本部オフィスは、このカンファレンスで名誉会長に就任された、創設者のウェルズ博士が内装をリノベーションした一軒家です。周りにある他の一軒家もオフィスとして使用しており、本部スタッフもアットホームでとても良いオフィス環境だと言っていました。日本にはない欧米感覚のオフィスで、とても新鮮でした。
来年のグローバル カンファレンスは、2020 年 6 月 22~24 日に米国マサチューセッツ州ボストンで開催する予定です。不正検査に関する最新情報や知識を得られるだけでなく、世界各国の CFE と交流できる機会ですので、ぜひ日本の会員の皆様にもご参加いただきたいと思います。
報告者:ACFE JAPAN 事務局