34th ACFE Global Conference : 1日目
2023年7月7日34th ACFE Global Conference : 3日目
2023年7月7日
ACFE GLOBAL FRAUD CONFERENCE
第34回Annual ACFE Global Fraud Conference 現地レポート:ACFE JAPAN 事務局
日時:2023年6月12日(月)~14日(水)
場所:ワシントン州シアトル
9:00及び13:00からのGeneral Sessionに加え、10:45からの分科会では、前日満員により早々に視聴申し込みを締め切っていた「Chat GPTをはじめとした生成A Iの不正防止や分析分野におけるインパクト」のセッションが人気のためリピートで行われていました。以下にその一部エッセンスをご紹介します。
ChatGPTは、最初の2ヶ月で1億人のアクティブユーザーを獲得し、これまでに立ち上げられた消費者向けアプリケーションの中で最も急速に成長している。この大規模言語モデル(LLM)はインターネットをインデックス化し、現在の規模に成長するまでに3,000億語以上を処理したが、このツールは、Google Bard、MicrosoftのCopilot、Perplexity AIなど、市場に多数存在するLLMの1つに過ぎない。
第34回ACFEグローバルカンファレンスにおいて、参加者はChatGPTとGenerative AIが不正防止と分析に与える影響について、CFE、CPA、KonaAIのCEOであるVincent Walden氏から学ぶことができた。ヴィンスは2022年にCFE of the Yearを受賞し、定期的にFraud Magazineで同様のトピックについて執筆している。
ほとんどの人がChatGPTと接するのは非構造化データとユースケースだが、ヴィンスは会計と監査にとって、ChatGPTは不正調査のための比類ないツールになり得ると提起する。
非構造化ユースケースの例:
・コピーライティング
・翻訳
・コード作成
・研究支援
・会話型AI/チャットボット
一方、会計や監査に特化した構造化されたユースケースの例としては、次のようなものがある:
・「最もリスクの高い取引を教えて」
・「過去60日間にアルゼンチンで発行された、説明に“トレーニング“という単語が含まれる請求書を表示して」
・「<選択した取引>に類似した取引を検索して」
・「どの従業員に賄賂を支払うリスクがあるか?」
・「私の行なった取引の中でリスクの高いトップ10は?」
これらの例から、不正検査担当者がLLMとジェネレーティブAIの使用から直ちに利益を得られることは明らかである。しかし、不正検査担当者として、ヴィンスは「調査するのがあなたの仕事であり、検証するのがあなたの仕事です」と念を押す。参加者は、さまざまな機械学習ツールの使用を実施する際、技術支援レビュー(TAR)が中間地点として有効であることを再認識した。ヴィンスは、LLMとの対話とデータ検証の両方が、LLMのレスポンスをさらに向上させ、最終的にあなたの最終目標をサポートするものだと言う。
LLMの潜在的なユースケースを探る際、セッション参加者が共通して懸念したのは、ChatGPTを使用する際に自社のデータをどのように保護するかということだった。この点についてヴィンスは、機密データを保護するためのツールや企業はすでに存在しているが、企業のITチームがLLMを「住まわせる」環境を構築することで、データが外部のネットワークに触れることなく、潜在的なリスクを回避することができると説明した。
どのような技術革新にも言えることだが、ChatGPTが社会に浸透し、使いやすくなったことで、不正実行者は不正検査官と同じようにその使用例を探っている。例えば、ハッカーでなくても、ChatGPTやオープン・マーケットにある他のオプションを使って危険なコードを書くことができるし、経験豊富なハッカーはすでに危険なコードを増幅するために使うことが可能だ。
では、ChatGPTができないことは何か?まず、ChatGPTはその回答を疑うことなく信用することはできず、常に事実確認を行う必要がある。ChatGPTがストーリーや法律、歴史、統計を完全に捏造しているケースは多い。また、ジェネレーティブAIが盗作であるかどうかを疑問視する声も多いが、ヴィンスはその答えを見つけることに特化した法務チームがすでに存在していると推測している。
ハッキングのためのコード作成であれ、新しい、あるいは改良された不正スキームの生成であれ、あるいはデータ分析や不正検査のためであれ、ジェネレーティブAIの意味合いや、現在のユースケースに利益をもたらすその能力を、良きにつけ悪しきにつけ、ごく近い将来に目にすることになるだろう。
同日17:15からは3Fのガーデンテラスにて、「Attendee Networking Reception」が催され、各国からの多くの参加者が一堂に集まり、バンド演奏やドリンクを楽しみながら、互いの交流を図っていました。