捜査経験者が意識する違和感
~不正対策に大切な違和感の理解と対処~
講義概要
不正の兆候を察知することは、不正対策における重要な課題です。この兆候の察知には、不正対策にかかる豊富な知見が必要であり、簡単なことではないと考える向きもあります。しかし、私は警察官としての企業犯罪の捜査あるいは民間企業での不正の調査を通じて、“違和感”さえ意識できれば、兆候の察知は難しくないと考えるようになりました。
“違和感”とは、不正あるいは兆候につながるおそれがある違いに気付くことです。ここにいう“違い”は、個人の価値観、経験、思考に左右される主観的な違いではありません。“客観的な違い=誰もが知覚できる事実”です。つまり、“客観的な違い”が何か、どのようなものかを知ることができれば、たとえ不正対策にかかる知見がなくても兆候に気付くことができます。
今回は、この“違い”にかかる違和感を看過したために不正等による深刻な損害を生じさせた事例から、不正またはその兆候の察知に向けて意識したい“違和感”を解説します。
<注>:講義は登壇者の見解であり、一般社団法人 日本公認不正検査士協会ほかいかなる団体の見解を表すものではありません。
講義内容
1.ケース/取引の概要
1.1 概要
1.2 経緯
1.3 担保等の設定(融資の条件)
1.4 回収困難となった事情
1.5 指摘された主な手続きの瑕疵
2.問題点/違和感、兆候に関する思い込み
2.1 違和感に関する思い込み
2.2 反社会的勢力に関する思い込み
2.3 外部関与型不正に関する認識の問題
3.違和感/概念、ケースでの違和感
3.1 違和感の分類
3.2 このケースでの違和感
3.3 違和感の性質
4.問題解決/課題、対処のフロー等
4.1 課題
4.2 違和感への対応フロー
4.3 違和感の容疑性調査
4.4 手口を見破るためのポイント
4.5 取組み例
5.おわりに/不正対策で優先したい取組み
講師紹介
堀 尚弘 (ほり なおひろ) 氏
ベストブレイン株式会社
公認不正検査士
主な経歴
元警察官。警視庁、警察庁等で勤務し、企業犯罪をはじめとする事件捜査に従事。
退職後は、上場企業等での勤務を経て2003年に警察関係者の出資を得てリスク管理のコンサルティングを提供するベストブレイン株式会社を創業。創業から今日まで、業務改善命令等の行政処分あるいは特設注意銘柄指定等に伴う健全化対策に従事したほか金融機関の監査役、上場企業のリスク管理委員会の委員その他医療法人の顧問等も務めてきた。
主な著書
- 「成功する会社がやっているリスク管理」(幻冬舎ルネッサンス)
主な執筆
主な講演
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