- 2019 年 7 月 10 日(水) に開催した集合研修型セミナー「第三者委員会の実務とその正しい活用を考える ~調査を行う側と依頼する側の双方の観点から理解する~」を基に、不正調査の実務者・担当者の「倫理」を中心に再構成したウェブ セミナーです。
- より内容をわかりやすくするため、2021/2/1 にコース名を変更しました。内容の変更はございません。
旧コース名:「不正調査と倫理 ~調査を行う側として不可欠なものとは~」
不正調査と信頼回復のための倫理 ~調査受任から案件終了後にわたる課題~
講義概要
最近は、何か不祥事があると「第三者委員会」といわれ、実際、数多くの第三者委員会 (独立調査委員会、等々の名称もあります) が設立されています。この第三者委員会の特徴は、(形式的) 依頼者から依頼を受けながら、(形式的) 依頼者から独立した調査を行ってこれを (形式的) 依頼者に書面で報告し、その指示を受けて関係各所に報告書を提出します。場合によっては、開示用の報告書も作成します。一方、依頼者から独立していない委員会もあります。「特別委員会」「調査委員会」という名称ですが、依頼者から独立していないことが最大の特徴です。
ところで、こうした調査委員会による調査を行って、その結果を開示し、依頼者が再発防止策を履行し、信用を回復して、売上や利益や株価が回復する、といった成功例が多くあります。その一方で、調査委員会による調査を行って同様にその結果を開示しても、世間から信用されず、ステークホルダーからの信用も回復せず、その結果、売上や利益、また株価が元に戻らない失敗例も少なくありません。
こうした委員会が、調査を失敗せずに職務を行うために最も必要なものは何でしょうか。それは「倫理」ではないでしょうか。
独立性がある委員会であっても、ない委員会であっても、調査に「倫理」は必要です。しかし、「倫理」はどこかに答えが書かれているものではありません。そして、時と場合と立場によって、様々な変容をするのが「倫理」です。したがって、委員会に所属するなど、調査を行う者として、「倫理」を意識した行動が必要となります。
本セミナーでは、調査を行う者が意識して実行しなければならない「倫理」について、改めて解説します。
講義内容
第1章 不正調査と倫理の関係
- 不正調査の目的
- ステークホルダーの信頼回復
- 第三者委員会の歴史
- 第三者委員会設置の動機
- 第三者委員会の濫用
- 第三者委員会の位置付け
- 独立性に関する実例
第2章 受任時の倫理
- 第三者委員会の設置
- 不正調査の実質的依頼者
- 第三者委員会が十分機能しない理由
- 第三者委員会の組成
- 第三者委員会就任時の契約
第3章 情報収集時の倫理
- 調査の開始
- 調査における考え方
- 調査における倫理
- 調査が順調でない場合
- 依頼会社との共同作業
第4章 報告に関する倫理
- 報告書の作成
- 提出・公表
- 報告書のポイント
- 評価の分かれるポイント
第5章 案件終了後の倫理
- 証拠等資料の保存
- 対象会社との関係
- 第三者委員会に対する外部評価
講師紹介
中西 和幸 (なかにし かずゆき) 氏
田辺総合法律事務所 パートナー 弁護士、公認不正検査士
主な経歴
1992.3 |
東京大学 法学部 卒業 |
1992.4 |
住友海上火災保険株式会社 入社 |
1995.4 |
弁護士 登録 (第一東京弁護士会)
田辺総合法律事務所 入所
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2005.4 |
田辺総合法律事務所 パートナー 就任 (現任) |
2007.4 |
第一東京弁護士会 総合法律研究所 会社法研究部会 部会長 就任 |
2010.5 |
株式会社レナウン 社外取締役 (独立役員) 就任 |
2012.4 |
国分寺市 オンブズパーソン 就任 |
2012.6 |
オーデリック株式会社 社外監査役 (独立役員) 就任 |
2017.6 |
株式会社VAZ 社外監査役 就任 |
2017.10 |
金融庁企業会計審議会監査部会 臨時委員 就任 (現任) |
2018.3 |
株式会社グローバル・リンク・マネジメント 社外取締役 監査等委員 (独立役員) 就任 (現任) |
2018.11 |
司法試験考査委員および司法試験予備試験考査委員 (商法) 就任 (現任) |
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プロフィール詳細 (田辺総合法律事務所)
主な著書
- 「第5版 役員報酬をめぐる法務・会計・税務」(共編著, 清文社, 2020/9)
- 「社外取締役ガイドラインの解説〔第3版〕」(共著, 商事法務, 2020/4)
- 「企業不祥事と対応 事例検証」(共編著, 清文社, 2019/9)
- 「企業不祥事インデックス〔第2版〕」(共著, 商事法務, 2019/5)
- 「新版 架空循環取引 法律・会計・税務の実務対応」(共著, 清文社, 2019/2)
ほか