不正調査の実務的論点
講義概要
日米 (ニューヨーク州) の弁護士資格を有する講師が、自らの経験に基づいて、調査の開始・遂行・終結の各段階における実務的論点(例:調査担当部署・主体、ヒアリングや報告書作成に関する留意点等)について解説します。
講義内容
日本における不祥事調査概論 (1)
- 日本の社内調査/調査委員会
- 不祥事調査の目的 何のために不祥事調査を行うのか?
- 社内調査 (委員会) の特徴 社内調査 (第三者委員会と比較した場合) の特色
- 日弁連ガイドライン「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」
- 近時・今後の社内調査の傾向
- 不祥事調査の流れ
日本における不祥事調査概論 (2)
- 不祥事調査の流れ
- 調査「開始」段階の論点
- 調査「開始」段階の論点①~誰が調査を担当するのか?
- 調査「開始」段階の論点②~会社は「本気」か?
- 調査「遂行」段階の論点
- 調査「遂行」段階の論点①~証拠・資料をどう確保する?
- 調査「遂行」段階の論点②~メールその他の電子データ
- 調査「終結」段階の論点
- 調査「終結」段階の論点①~調査結果はすべて公表すべき?
- 調査「終結」段階の論点②~調査内容を当局に提供?
- 調査「終結」段階の論点③~関与者の処分を軽減?
グローバル不祥事「調査と秘匿特権」(1)
- 設例
- FCPA (Foreign Corrupt Practices Act of 1977)
- 米国 FCPA 違反 罰金トップ 10
- カルテルの米国法
- 米司法省 反トラスト局 日本関連刑事事件
- 国別で分析すると・・・
- 罰金額で分析すると・・・
- グローバル不正案件の特徴
- 米国刑事事件の典型的流れ
- 米国刑事訴訟手続~捜査当局
- 米国刑事事件~捜査・手続
グローバル不祥事「調査と秘匿特権」(2)
- 捜査協力・答弁取引 (司法取引)
- 内部告発
- 刑事事件関連の後発民事訴訟
グローバル不祥事「調査と秘匿特権」(3)
- 民事訴訟の違い ディスカバリ
- ディスカバリ 日本との違い
- 違反の場合のペナルティ
- 弁護士・依頼者秘匿特権 (Attorney-Client Privilege)
- ワーク プロダクトの法理 (Attorney Work Product Doctrine)
- 日本法における秘匿特権
- ディスカバリの脅威 秘匿特権
- 秘匿特権とワーク プロダクトの関係
- 米国刑事責任と秘匿特権:視点
グローバル不祥事「調査と秘匿特権」(4)
- 調査開始段階 ① 第三者委員会か社内調査か
- 調査開始段階 ② 日弁連ガイドラインに準拠するか
- 調査開始段階 ③ 委員の構成をどうするか
- 調査開始段階 ④ 調査の目的をどう設定するか
- 調査開始段階と秘匿特権 (まとめ)
- 調査遂行段階 ① 調査対象資料は何か
- 調査遂行段階 ② ヒアリング内容は秘匿特権の保護対象か?
- 調査遂行段階 ③ ヒアリングの記録はどのように残すべきか
- 調査遂行段階と秘匿特権 (まとめ)
- 調査終結段階 ① 報告は書面で行うべきか?
- 調査終結段階 ② 報告書は公表すべきか
グローバル不祥事「調査と秘匿特権」(5)
- 調査終結段階と秘匿特権 (まとめ)
- 不祥事調査に向けた平時の取組み
- 平時の取組みの重要性
- 予防コンプライアンス
- ポイント1:トップ・上司による言動一致
- ポイント2:品質・事業部門等への浸透
- 予防コンプライアンスの限界
- 発見コンプライアンス
- 定期的監査の必要性
不祥事調査に向けた平時の取組み (1)
- ホットライン (内部通報システム)
- 発見コンプライアンスの副次効果
- 調査コンプライアンス
- 不祥事調査のルール
- 調査スキルをどう伸ばすか?
- チェックポイント
不祥事調査に向けた平時の取組み (2)
- 社内勉強会の一例
- 危機管理コンプライアンス
- 秘匿特権の戦略的活用対策
- ドキュメント・リテンション・ポリシー
- 文書・メールの作成・管理
講師紹介
結城 大輔 (ゆうき だいすけ) 氏
のぞみ総合法律事務所 パートナー
弁護士、米国ニューヨーク州 弁護士、公認不正検査士 (CFE)
主な経歴
1996 年、東京大学 法学部 卒業、司法修習生 (第 50 期)。1998 年、弁護士 登録、のぞみ総合法律事務所 入所。
日本銀行 信用機構室決済システム課 出向、韓国ソウルの法律事務所「法務法人 (有限) 太平洋 (BAE, KIM & LEE)」「法務法人廣場 (LEE & KO)」での執務、米国ロサンゼルスの法律事務所「Liner Grode Stein Yankelevitz Sunshine Regenstreif & Taylor LLP (当時)」での執務を経て、現職。
リーガル・リスクマネジメント研究機構 (“LR”) 代表理事、日本公認不正検査士協会 (ACFE JAPAN) 理事。
プロフィール (のぞみ総合法律事務所)