公開日・更新日:2017-03-17

不正な経費請求を検出・防止するための 3 つの方法

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米国 ACFE 本部 Research Specialist である Misty Carter が ACFE Insights に投稿した記事を邦訳いたしました。不正な経費請求を検出・防止するための取り組みについて説明しています。

不正対策に取り組まれる方の参考となりましたら幸いです。

 

注意

  • わかりやすさを優先させるため、意訳を行っています。ACFE JAPAN (一般社団法人 日本公認不正検査士協会) 公式の邦訳とは異なる表現を使用している場合があります。
  • 細心の注意を払い翻訳していますが、内容に誤りがある可能性があります。

 

不正な経費請求を検出・防止するための 3 つの方法

by Misty Carter, CFE, CIA, CISA, 米国 ACFE 本部 Research Specialist

 

「自分が申請した経費請求は、きちんと確認されているのだろうか?」と思ったことはありませんか?

架空の出張に対する旅費請求で会社からお金を奪うことに成功した不正実行者の多くは、最初にそんな考えを抱きます。

もし経営層や管理職が、従業員の抱くこの疑問に対して何の対策も行わないとしたら、何千ドルものお金が従業員の中に潜む不正実行者のお小遣いとして不正に支出されることになるかもしれません。

 

これからお話するのは、米国ニューヨーク州議員 William Boyland Jr. 氏による出張費の不正請求事件についてです。

Boyland 氏は、数万ドルもの不正な出張費請求により起訴されました。Wall Street Journal のブログ Metropolis の報告によると、2007 年 1 月から 2011 年 11 月までに行われたニューヨーク州アルバニーでの立法関連業務のための出張費が請求されましたが、彼はアルバニーにはいなかったと言われています。

実際、アルバニーに出張していたと主張している期間の一部で、彼はニューヨークにいて、彼の業務とは関係のない、贈収賄を担当する秘密捜査員と打ち合わせをしていたことが確認されています。

 

Boyland 氏による不正請求の総額は今なお明らかにはなっていませんが、975 日分の出張費請求に対して、609 日分については、彼がアルバニーにいたという記録 (証拠) がないことが監査を通じて判明しています。この監査結果により、Boyland 氏は、旅費と滞在費、67,497 ドルの返金を求められています。

また、Boyland 氏は、この事件とは別に、贈収賄や勧誘詐欺に関連する訴訟を 2 件起こされています。

 

この事件は、経費請求制度を悪用して会社や (公的機関では) 納税者のお金を掠め取ろうとする、多くの事例のひとつにすぎません。

"Report to the Nations on Occupational Fraud and Abuse, 2016 Global Fraud Study"(邦訳「2016 年度版 職業上の不正と濫用に関する国民への報告書」) によると、経費精算による不正 (不正な経費請求) は、資産の不正流用の手口の 14% を占め、その損失額の中央値(*1)は 40,000 ドルです。また、この種の不正を摘発するまでの期間は、中央値で 24 か月であり、Boyland 氏の場合も同様でした。

 

経費請求で行われる不正の検出・防止は難しいと感じられるかもしれませんが、この領域のリスクを軽減するために統制を利用できます。

次に挙げる 3 つの方法は、この種の不正の検出・防止・抑止に効果的です。

1. 継続的統制監視ツール (ソフトウェア) を導入しましょう。

このソフトウェアは、すべての経費請求データを確認できるように自動化されています。また、部外者や、不正・違反の行われやすい領域を識別できるように設定できます。

この監視の仕組みから報告されるデータを使い、傾向や異常値を確認することで、不正な経費請求を減らすことができます。そして、すべての経費請求をツールで監視していると従業員に知らせることで、不正を行う気持ちをなくすことができるかもしれません。

2. 旅費・交際費の支出方針を定めましょう。

旅費や交際費について、支出方針を明確にして従業員に知らしめることが重要です。従業員にはこの方針の遵守を徹底させ、これに従わない場合の処罰についても定めておきましょう。

3. 説明責任を意識させましょう。

経営層や管理職にとって、従業員の経費の確認と承認なんてやってられないかもしれません。しかし、不正な経費を承認した場合に説明責任があることを意識すれば、経費の確認にもう少し時間を掛けるようになるかもしれません。

承認を行う際、承認者は、必要に応じて申請された経費について従業員に質問します。そのやり取りを通じて、従業員は自分たちが申請した経費が誰かの手により確認されていることを知り、不正な請求を申請しようとする気持ちをなくすかもしれません。

 

 

経費請求を通じた不正は横行していますが、適切な対応を行うことで、その被害を最小限に抑えられます。経営層や管理職は、積極的な対応を心掛けるようにし、不正に手を染めようとする従業員を思いとどまらせ、不正が行われても検知できるような統制の仕組みを構築しなくてはいけません。

何の対策も行わないままでいることは、会社にとって有害であるばかりでなく、経費請求にかぎらず他の不正に対しても脆弱となりかねません。

 


*1) 原文では"average"(平均値) と書かれていますが、正しくは"median"(中央値) であるため、本稿では修正しています。

 

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