不正対応を意識した統制環境への取組み
~企業風土や統制環境に対する不正対応・内部統制・監査活動の再検討~

講義概要

粉飾決算などの会計上の不正や品質偽装などの業務上の不正が数多く報道されています。それらの根本原因として、ガバナンスや企業風土といった統制環境が注目されています。内部統制という観点からは、対象となった業務統制や会計処理の領域よりも、企業全体の統制環境の方に事の本質がありそうです。またそれに対する評価や監査の実効性という問題もあります。さらに社会的には日本のガバナンス制度や内部統制や監査の制度、更にはその背景にある日本の監査風土にも関係する話です。

 

不正対応のセミナーでは、事例の紹介や制度の解説が多く、欧米の専門書で見られるような理論的な整理はあまり行われません。また、アンケートの分析から得た対応策についても、経営者の姿勢、内部監査の強化、監査におけるリスク アプローチの徹底などは挙げられても、その具体的な内容までは解説されません。欧米並みの法制度の導入に邁進してきた日本の制度では、法律に書かれていない内部監査の価値が見落とされやすく、未だその本質の理解は不十分ですし、また、リスク ベースと言っても、他のビジネス リスクとは異なる不正リスクの難しさは意識されていません。欧米から輸入された内部統制や監査の概念を足元の風土や実務に照らして実効性のある実践知として再構築していく必要があります。

 

今回のセミナーでは、会計処理や制度の解説ではなく、不正対応を意識した統制環境への現実的な取組みについて検討します。

 

講義内容

1. 統制環境への対応を考える際に理解しておきたいこと
  • 会計士が不正を見逃したと言われる背景
    • 日本の会計監査制度と監査風土上の問題
      • リスク・アプローチおよび外部報告目的監査の限界
      • 監査と不正調査の違い
  • 内部統制報告制度 (J-SOX) をめぐる問題点
    • 制度設計の在り方
    • 評価ないし監査技法の限界
  • 一般に理解が乏しい、会計士の監査とは異なる内部監査の本質
  • 監査役の統制環境への取組みの必要性
  • 歴史に学ぶガバナンスと組織風土の悪弊
    • アウシュビッツ刑務所に官僚組織の悪を見た社会心理学者の知見
    • 史上最悪のインパール作戦でも反省の弁がない軍上層部
2. 不正リスクへの対応と業務レベルの内部統制
  • 不正リスク評価の必要性と進め方
  • 不正リスク対応に重要な内部統制と内部監査の対応例
    • 重要不正事件に関係が深い職務分離の不備など
3. 会計士監査では手の届かない内部監査による不正対応
  • 内部監査の価値を解き放すという欧米の考え方
  • 企業のガバナンスにおける内部監査の位置づけの重要性
4. 重要性を帯びる組織風土の監査
  • 統制環境・ソフト・コントロールに対する監査の考え方とアプローチ

 

講師

藤井 範彰
藤井範彰公認会計士事務所 代表
UDトラックス株式会社 監査役
公認会計士、公認内部監査人 (CIA)、米国公認会計士 (US CPA)(inactive)
《 経歴 》
大手監査法人 (E&Y 及びアンダーセン) で 20 年近く会計監査に従事し、併せて監査法人内の会計監査アプローチの普及活動や公認会計士協会本部の委員会活動 (国際委員会 副委員長、会計制度委員会 副委員長、監査基準委員会 委員、他) にも専念。1999 年以降は、内部監査、内部統制、リスク マネジメント、不正調査等のアドバイザリー業務に特化し、アンダーセン消滅後も PwC (中央青山監査法人) で活動を継続。その後、J-SOX の制度化を前に復帰した新日本監査法人 (E&Y) では、内部統制支援本部統括部長、ビジネス リスク サービス部長、FIDS (不正対策・係争サポート) 部長等を歴任。2012 年、シニア パートナーを早期退任して、ボルボ・グループで日本の内部監査統括およびグループ会社であるUDトラックス株式会社の監査役に就任し、監査業務や不正調査を継続。現在も監査役業務の他に、藤井範彰公認会計士事務所の代表として内部監査や不正対応関連などの講演、研修、執筆活動に従事。
《 著書 》
  • 「内部監査のプロが書く監査報告書の指摘事項と改善提案」(同文館出版, 2016/11)(2017 年度 日本内部監査協会 青木賞 受賞)
  • 「経営者と会社を動かす内部監査の課題解決法 20」(税務経理協会, 2012/3)
  • 「内部統制の実務Q&A」(共編著, 東洋経済新報社, 2007/9)
  • 「会社法実践ガイド1 機関設計・内部統制」(共著, 中央経済社, 2006/7)
  • 「図解 リスク マネジメント」(共編著, 東洋経済新報社, 2001/5)
ほか
《 論文など 》
  • 「内部監査のアシュアランスの本質論~ゼロベースで考える内部監査の監査意見の書き方」(日本内部監査協会「月刊監査研究」2018年7月号 (Vol.44, No.7))
  • 「内部監査報告書の本質論と実務対応~監査の指摘事項と改善提案をめぐる問題~」(日本内部監査協会「月刊監査研究」2017年5月号 (Vol.43, No.5))
  • 「海外監査の検討課題――成熟度レベルに応じた問題認識と対応」(日本内部監査協会「月刊監査研究」2013年11月号 (Vol.39, No.11))
  • 「リスク・マネジメントに対する内部監査の対応――最適化シナリオに向けて」(日本内部監査協会「月刊監査研究」2012年3月号 (Vol.38, No.3))
  • 「日本版 SOX 適用年度の評価体制に向けて」(日本内部監査協会「月刊監査研究」2008年1月号 (Vol.34, No.1))
  • 「内部監査見直しのためのミッションとアプローチの整理」(日本内部監査協会「月刊監査研究」2005年10月号 (Vol.31, No.11))
ほか

日時・会場・受講料・CPE

【 日時 】 2019 年 2 月 28 日(木) 13:30~16:30 (受付開始 13:00)
【 会場 】

連合会館 4F 401 会議室

〒101-0062
東京都千代田区 神田駿河台 3-2-11
[地図 (公式サイト)]
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【受講料】 ACFE 会員 10,800 円、一般 16,200 円 (いずれも消費税 8% を含む)
【CPE】 3 単位 (不正検査 (損失防止))

セミナースケジュール

私たちは、世界的な規模で不正対策に関するトップレベルのトレーニングを提供しています。
また、世界最先端の知識と実践的な問題解決策の提供を通じて、不正対策の専門家の方々が結束して不正防止・早期発見に取組めるよう支援しています。


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