本記事は、不正対策に役立つ情報を会報誌「FRAUD マガジン」などから抜粋してご紹介するものです。

#003 人の不幸を食い物にする犯罪者たち

災害は、人々に当然のことながら最悪の状況をもたらすとともに、最高の状況ももたらす。大惨事は日和見主義の略奪者にとっては合図の光に等しい。ここでは不正の手口、条件、また不正を防止、発見する最新の手法を紹介する。
 
ハリケーン・カトリーナ直後、救世軍(Salvation Army)職員を装った2人の犯罪者は、2,500人以上の警察官、消防隊員、郡副保安官、FBI捜査官をペテンにかけ、彼らの個人情報を手に入れた。ウィスコンシン州グリーンベイ在住のスコット・ベンソン(Scott Benson)とフロリダ州オーランド在住のクリス・アームストロング(Chris Armstrong)の犯罪者2人は、肩書き詐称と個人情報窃盗未遂の罪で摘発された。
 
ハリケーン・カトリーナ、アジアの津波、パキスタン地震、スペインとイギリスでのテロ事件、そしてアメリカの9/11同時多発テロ。新世紀の始まり、私たちは増加する国家規模の自然災害と人災を目撃してきた。しかし、このような大惨事は日和見主義の略奪者にとっては(行動開始の)合図の光であり、また様々なタイプの不正をひきつける磁石なのである。
 
 
 
災害に関する不正の手口 (TYPES OF DISASTER FRAUD)
 
 
災害に関する不正、それを大惨事発生後、個人または政府を騙すための計画的な行為と定義しよう。これは主に5つに分類できる:慈善団体・活動への寄付依頼に関する不正、請負業者やベンダーによる不正、価格吊り上げ、損害保険金詐欺、文書偽造である。
 
慈善団体・活動への寄付依頼に関する不正とは、合法的な組織を装い、人の手やインターネットを使って被災者への寄付金を募ることである。(冒頭のケースのように)
 
ウェブを利用すると、世界中の人々がターゲットとなり、警戒心が薄い人々の重要な個人情報を聞き出すことが可能になる。災害発生後、寄付をしようと有名な慈善団体を頻繁にネットサーチするような寛大な人々は、しばしば、いんちきなウェブサイトのカモになってしまう。これらの偽サイトでは、寄付者のクレジットカード番号、その他の個人情報が収集される。
 
価格吊り上げとは、その名称が暗示するように、被災地で入手しにくい物資、または需要がある物資の価格を、個人や企業が吊り上げることである。2005年10月にフロリダを襲ったハリケーン・ウィルマのあと、進取の気性に富んだある男が路上で35個の発電機を販売し、莫大な利益を得た。訴訟内容に依れば、デービッド・メディナ(David Medina)はノースキャロライナ州の会員制倉庫型店舗コストコ・ホールセールで各529.99米ドルと279.99米ドルする2種類の発電機を購入した。その後、調査官が介入するまで、男はマイアミで、それらの発電機を各900米ドルと600米ドルで再販売していた。
 
請負業者や販売業者による不正は、個人が請負業者や修理工の形をとるが、実際は損害を修復したり、受注した仕事を完了する意図がないことをいう。典型的な例は、フロリダ州ポート・シャーロットの元牧師ジャッキー・ラフ(Jackie Ruff)の事件である。男は前金を受け取りながら、2004年のハリケーン・チャーリーで被災した43棟の家屋の修復を完了しなかった罪で起訴され、モンタナ州で逮捕された。
 
災害に関わる損害保険金詐欺には、損害額の吊り上げ、でっち上げの修理、遺失物請求、そして保険金受領を謀略し、所有資産に災害直後作為的にダメージを施すケースなどもある。「甚だしい保険金詐欺(“Hard insurance fraud”)」は緻密に計略し、請求内容を捏造する際に起こる。「軽微な保険金詐欺(“Soft insurance fraud”)」(日和見詐欺とも言われる“opportunistic fraud”)は、普段は正直な人が合法的な形だが僅かに水増し請求をするときに起こる。
 
文書偽造の例には、郵便受けの払い戻し小切手の盗難、偽造建築許可証、偽造建築申請受領証、捏造した保険支払小切手や連邦緊急時支援金の小切手、偽造損害報告書の提出などがある。南フロリダに住むある男が6件の郵便詐欺、1件の電子送金詐欺(wire fraud)、1件の偽造保険請求の罪で起訴された。トーマス・H.エリオット(Thomas H. Elliott)は、2004年ハリケーン・フランシスで、住居にしていたボートが損害を受けたとして緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency 以下FEMA)から23,244米ドルの支援金を受け取った。しかし、男の主な住居は、実際はアパートだった。加えて、26人の南フロリダの住人が、ハリケーン・フランシスに関して不正な保険請求をした罪で告発されていた。
 
 
 
不正が成功する要因とは (SCAM SUCCESS FACTORS)
 
 
災害に乗じた不正が成功する要因としては、以下に限られてはいないが、利用できるスピード(とテクノロジー)、大災害の発生した場所、加害者の自信の度合い、社会の全般的姿勢が挙げられる。
 
 
 
スピード (Speed)
 
 
マウスをクリックしたり、天気予報サイトをネット・サーフィンすれば、年中無休で情報を手に入れることができる。例えば、9/11テロ事件のたった数時間後、大量の慈善関連サイトが出現し、被害者やその家族に寄付を届けますと謳っていた。しかし、実際、彼らは受領したものを被害者らに届けることはなかった。オンライン不正情報を扱うインターネット情報センターであるScamBusters.org.によると、国際赤十字の名のもとに緊急時支援寄付金を募っていたメールが、実はクレジッド・カード情報詐欺目的のスパマーのメールだった、という報告をかなり受けたという。
 
赤十字は現在、赤十字と主張する偽のサイト(その幾つかは、非常に洗練された外観をもつ)を特定するために、FBIと協同で取り組んでいる。2005年9月10日時点において、FBIは約800サイトを調査し、その60パーセントは東欧、アジアなどと国際的なコネクションもち、かつ偽者であると報告している。
 
 
 
被災地の場所 (Location)
 
 
被災地の場所により、ある特定の不正が行なわれやすくなることがよくある。例えば、バンコクの警察や民間の調査会社によると、2004年、東南アジアを襲った津波で行方不明になった旅行者のパスポートやクレジット・カードは、犯罪者の手に渡っているという。警備保障会社は、死体の身元特定や行方不明者の調査を現在も続行している。しかし、国際的なフォレンジック専門家らによれば、様々な混乱やお役所間のごたごたにより、外国人犠牲者の多くの身元は、この先ずっと判明しないかもしれないという。欧州のフォレンジック専門家らによると、タイ政府が行った初期段階での身元判明調査は無秩序であり、かつDNAテストの中には、結果の信頼性が疑われる技術を使用していたものがあったと指摘する。しかし、犯罪者たちは素晴らしく組織化されていた。死亡宣告につながる本当の身元確認ができない限り、なりすまし犯罪(個人情報詐欺)は、依然脅威となっている。
 
 
 
犯罪者の自信 (Confidence factor)
 
 
進入制限された被災地では、しばしば、はったりを通して切り抜ける人々がいる。その中には、単に興奮を得るためや一時的なノリで行うものがいる一方、もっと悪意をもっている人間もいる。アイルランド人のジョン神父は、これまで他の被災地で行ってきたのと同様、1987年ノースウエスト航空機墜落事故の遺族慰問のために、デトロイトに降り立った(当時、聖職者はIDチェックを受けなかった)。しかし、今回は、教会の聖礼典についての質問を受けてしまった。結果、聖職者になりすましていたアイルランド人は不正に金銭と宿を享受していた罪で起訴された。しかし、米国当局は男の違法性を明らかにできず、結果カナダに逃亡され、国際間の犯罪人引渡しもされなかった。そのアイルランド人が、人々をぺてんにかける特殊能力を持っていたのは確かである。
 
 
 
社会の姿勢 (Attitude)
 
 
災害に係る不正の範囲と不正が成功するかは、保険会社、政府機関、援助機関に対する社会の姿勢が直接的に関連している。つまるところ、保険金詐欺は、保険会社が営業を始めた17世紀から間違いなく存在している。にもかかわらず、多くの州の公正請求慣習規則(fair claim practice regulation)のもと、規定期間内の保険金支払いが要求されるので、疑わしいケースを調査することが困難になっている。さらに、疑わしい請求者と合法的な請求者にしつこく詰め寄ることは紙一重の差である。また、不正を明らかにする取り組みは、消費者にとって敵対的な行為として映ってしまいかねない。
 
今もなお、不正との戦いにおいて、社会のとる姿勢が保険会社の運営を妨げ続けている。保険研究評議会(Insurance Research Council)の調査により、アメリカ人の相当数が、保険請求しない期間に支払った保険料や、控除金額の埋め合わせのために、保険請求額を吊り上げるのは正当だと思っていることが明らかになった。保険業界の専門家によれば、毎年保険請求される案件の約10パーセントは、なんらかの不正を含んでいるという。一方、国民の大半は、政府から「かすめ取る」ことは許されることであり、それは官僚主義が受けて当然の痛手だと思っているので、政府の調査官たちは、ますます気分が滅入っていくのである。
 
 
 
コストと罰則 (COST AND PENALTIES)
 
 
誰もが不正行為の代償を支払っている。不正請求により合法的な被害者が受領する金額が減少する。また、不正が入り込めない大災害は存在しない。アメリカ国民は、お役所での形式的な手続きを殆ど経ずに援助を行うことによって、9/11テロ事件に素早く対応した。しかし、その簡略的な支援手続きによって、9/11テロ後、およそ250万米ドルが不正に利用されたかもしれない。また慈善組織や政府団体に対する9/11関連詐欺において、犯罪者の手に渡ったお金は400万米ドルにも上ると推定する者もいる。政府からの援助は税金で賄われているため、全アメリカ国民が詐欺への代償を支払っていることになる。そして、2003年だけでも損害・災害保険で総額290億米ドルにも上る保険金詐欺被害額は、結局、高額な保険料という形で消費者に降りかかるのである。全米ホワイトカラー犯罪センター(the National White Collar Crime Center)によると、不正が原因で、2002年では平均的な世帯につき、200から300米ドル余分な保険料を支払っている計算になるという。結果として、直接的な災害被害者でなくても、災害に係る詐欺の被害者になっているということになるのだ。
 
一方、 保険金詐欺に対する刑罰は、ここ10年の間ほとんど変わっていない。1995年、連邦政府への保険金詐欺に対する最高刑は、犯罪1件につき5年の懲役と不正受領した全額の返済、25万米ドルの罰金だった。重罪である保険金詐欺の訴追手続きは、合衆国法典18編に基づき行われる。今日、保険金欺に対する罰金は依然25万米ドルに留まっている。しかし、懲役期間には5年から10年の幅が設定された。保険金詐欺に関しては、州ごとに刑罰のばらつきがある。保険金詐欺を軽罪として扱う州もあれば、重罪として扱う州もある。被害額の大小もまた、州ごとの刑罰の分類に影響してくる。保険金詐欺が、明確に刑法典で言及されていない州では、詐欺行為による不正(fraud by deception)のような、一般の不正行為条項に該当してくる。慈善団体の関係者を装って金銭を懇請する重罪も、依然としてたったの5年の懲役にすぎないのだ。
 
 
 
不正防止と発見 (PREVANTION AND DETACTION)
 
 
不正防止に係るコストは、金額、リソース、従業員のモラル、関わった組織の世評を考慮すると、発見するコストよりもずっと安いものである。今日では、いくつかの予防手段が利用可能だ。1つ目は、支援金受領者を、注意深く審査(screening)することである。ヴァージニア州は自動化システムを使い、食料補助プログラム(the food-stamp program)の登録者情報をデータベース化し、応募書類は州規模で追跡(track)している。同様に、同州は保険請求申請書を世界最大の包括的データベースの保険請求情報と照合している。全米保険犯罪局(National Insurance Crime Bureau 以下NICB)が主催するプログラム“Predictive Knowledge”では、保険金詐欺を防止、発見、調査するために、全米の保険会社や司法当局向けの情報を収集、分析している。NICBは、アイマップデータ株式会社(iMapData Inc)の協力を得て、災害関連の保険金詐欺を発見するために、CATfraudシステムを導入した。赤十字は裁判所、運転免許証の記録、請求書などを利用し、保険金詐欺を発見するために(支援申請者の)住所を照合している。申請者の災害支援への適格性を確認するのは不正を防止、発見する手段でもある。
 
救援隊員の身元確認や、慎重な採用活動が災害に関する不正を減少させる。ペンシルバニア州では、州警察が州内の被災地に監視網を張り、肩書き詐称者の出入りができないよう厳しい身元確認ガイドラインを敷いている。また、厳格な採用プロセスが肝要である。ティワニシア・プレストン(Tywanishia Preston)事件は、FEMAの採用システムの脆弱性を露見させた一例だ。プレストンは、現在も続くマイアミデート郡での連邦調査において賄賂と交換にハリケーン損害の不正請求申請を認可した罪で初めて逮捕されたFEMA調査官の人物である。
 
報道で容疑者の名前や保険金詐欺額を公開することは、他の犯罪者を思い留まらせるかもしれない。NICBは逮捕者と保険金詐欺の有罪判決被告人の情報を公開している。
 
従業員や一般市民への災害関連詐欺に対する教育や、容疑者を公開することは犯罪の抑止力になる。全米損害保険協会(Property Casualty Association of America)、FBI、全米慈善情報局(National Charities Information Bureau 以下NCIB)、国際特別捜査団協会(the International Association of Special Investigating Units)の共同的なイニシアチブと、NICBのリーダーシップのもと、国立の不正に関する学会(a national fraud academy)を設立した。アカデミーでは、保険金詐欺調査官の教育研修のためにオンライン講座を提供している。
 
説明責任は災害に関する不正を防止・発見するのに最も効果的なモチベーションになる。例えば、国連はプライスウォーターハウスクーパーズ(PricewaterhouseCoopers)の協力を得て、寄付金の流れを追跡し、不正防止のモニタリングをするために国連のオンライン・システムをアップ・グレードした。世界銀行は、オンライン上に寄付内容をリスト化し、国境なき医師団は、既存の寄付の支出内容を情報公開するまでは、次の寄付を受け付けなかった。実際、世界銀行と国連開発計画(the United Nation Development Program)が現在、ほとんどの支援物質を管理している。それは、これらの機関が、説明責任を果たすことは比較的容易だからである。
 
勿論、保険業界も、株主や保険契約者に対して説明責任がある。保険会社や疑わしい保険請求申請を特定、調査するために、特別調査団(以下SIUs)を設立した。保険金詐欺対策連合(the Coalition Against insurance Fraud)によると、1999年時点で損害災害保険会社の40パーセントがSIUsを保有しており、2001年にはその数が2倍以上に増加しているという。また保険会社に対して、不正を発見する特別プログラムだけでなく、不正を削減するための是正措置をアウトライン化するよう、現在は立法化されている。
 
災害直後の専門家のボランティア活動は非常に高く評価されている。米国公認会計士協会(American Institute of Certified Public Accountants 以下AICPA)と米国の内国歳入局(Internal Revenue Services)は協力して、災害復興センターを訪れるハリケーン被災者たちに無料の税金相談を提供している。また、CFEは、災害地において間違いなくボランティア活動に協力している。実際、災害時に支援提供するのに最も適した人々はCFEなのかもしれない。
 
 
 
責任をとる (TAKING RESPONSIBILITY)
 
 
明らかに、災害支援は不正によって苦境に陥っている。また、上昇するコストが災害支援の金額を押し上げるにつれ、不正被害額も間違いなく比例して上昇する。よって、刑罰は最低限度でもインフレーションに呼応して重罰化していくべきである。罰金額は原則的には過去10年間増加していない。より厳格な刑罰を施すことが犯罪者の抑止力となる。この必要性を認識し、米国下院は2006年6月20日に法律を成立させた。この法律により、災害関連の不正に対して最高100万米ドル、30年の懲役を科すことになるだろう。現在この法律は上院で審議中である。
 
最終的には、不正の防止・発見の役割分担をする人々である、立法者や民間の支援団体が、災害関連の不正発生や、その頻度を減少させることができるだろう。今後、被災者の申請書を全方面からチェックする全米規模のシステム開発、支援活動候補者の身元確認プロセスの改善、支援団体職員採用時の審査に利用するための徹底的な雇用プロセスの見直しが、今後、私たちが取り組まなければならない必須項目である。また災害に関する不正調査結果を情報公開したり、一般市民や従業員への不正に係る教育研修を強化することが極めて重要である。納税者が災害関連の不正への代償を支払っている。よって、その被害額を最小限にするために、納税者自身が責任を持たなければならない。実際には、有権者が、他人の不幸を貪る略奪者を発見し罰するための法制化や、リソース投入に向けた代表者を選ぶことにより、災害に係る不正を削減できるか否かの鍵を握ることになるのである。
 
 
 
 
リチャード・G.ブロディ氏(Richard G. Brody)、Ph.D., CFE, CPA
ニューメキシコ大学アンダーソン・マネジメント・スクール(ニューメキシコ州アルバカーキ)の助教授である。 
 
バレリー・キンボール氏(Valerie Kimball)
セント・ピーターズバーグ大学(フロリダ州)のラーニング・コーディネーターである。 
 
 
 
ハリケーン・カトリーナ:蔓延する不正に関する一考察
 
2005年は、700億米ドルという記録的な災害に関する保険額の損失を残した年である。ハリケーン・カトリーナだけで600臆米ドルの損失額に上ると予測される。単純な計算でも、もし損害額の1パーセントが詐欺により失われたとしたら、ハリケーン当たりの災害関連詐欺の被害額は6億米ドルを上回るであろう。
 
カトリーナが上陸して数時間以内に、詐欺行為はネット上に出現しはじめていた。2005年9月1日にフロリダ州で起訴されたロバート・E・モニハン(Robert E.Moneyhan)は、カトリーナが海岸線を襲う前、早くも8月28日に、複数のカトリーナ関連のドメイン名を登録していた。フロリダ州法務長官のチャールズ・J・クリスト・ジュニア(Charles J. Crist Jr.)によると、モニハンのサイトは、訪問者が便利なようにペイパル口座(アメリカのペイパル社”PayPal, Inc.”が開発したオンライン決済サービス)にリンクする「寄付」ボタンをクリックさせ、カトリーナ被災者への寄付を募った。訴訟では、モニハンに対して民事罰で1万米ドルの罰金と、彼の偽サイトに寄付したかもしれない消費者に対する被害額の返還を要求している。
 
(2005年)9月1日までに、ScamBusters.orgのサイトではカトリーナ関連の詐欺とスパム・メールによる手口を何十件も記録している。詐欺手口は、日和見的な売買に関わる犯罪から、被災者や、その家族と称するメッセージの送信まで、多岐にわたる。FBIは9月7日までで、およそ2,300のカトリーナ関連のサイトが存在したと推定している。その数は9月5日に比べて2倍以上であった。
 
ウィスコンシン州職員の報告によると、米国赤十字の名のもとにカトリーナの寄付を募っていたメールには、ユーザーを偽の赤十字サイトに誘導させるリンクを含んでいるものもあったという。
 
もちろん、保険業界はカトリーナ直後から日和見犯罪者のターゲットとなっている。保険証書の内容につけこんで一儲けしようと必死になる家主の中には、証書内容に該当するよう極端な手段に訴えた者もいた。ルイジアナ州の調査官と保険会社は、洪水保険に未加入の家主たちにより図られたかもしれない火事について詳しく調査することになった。
 
米国議会は、もともと620億米ドルの予算を復興事業向けに確保していたが、その額は最終的に1,100億米ドル以上にも上った。避難民救援やニューオリンズ復興を早急に行うために、通常の連邦政府契約規則の適用が免除された。取引契約が結ばれたその速さは、前代未聞だった。カトリーナの救援金は、1日当たり5億米ドル以上の割合で消えていった。取引契約に関わる15億米ドルの資金の80パーセント以上が、入札なしで付与された。国土安全保障省(Homeland Security Department)の監察官リチャード・L・スキナー氏(Richard L. Skinner)によると、口約束で取り交わされた政府宛の取引請求書には、裏付資料が全く添付されてなかったという。その詳細への言及は控えたが、「政府は大きなプレッシャーのもと、結果的に浪費に繋がった可能性のある手っ取り早い手段をとってしまった」とスキナー氏は述べる。 
 
ハリケーン・カトリーナ不正防止タスク・フォース(The Hurricane Katrina Fraud Task Force)は、特定分野の不正に焦点を絞り、新たな犯罪手口にも柔軟に対応している。タスク・フォース・メンバーはFBI、米連邦取引委員会(Federal Trade Commission)、郵政調査室(the Postal Inspector’s Office)、米国弁護士協会執行部(the Executive Office of the U.S. Attorneys)などで構成される。しかしながら、この1件の災害が、不正の防止と発見の必要性を改めて強調しているのである。
 
 
 
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