本記事は、不正対策に役立つ情報を会報誌「FRAUD マガジン」などから抜粋してご紹介するものです。

#069 21世紀式マネーローンダリング 前編

マネーローンダリング対策プログラムを有効に構築させることは、規制当局を満足させるだけでなく、主要なビジネスリスクを減らすことで最終的な収益を底上げすることができることに企業は気付き始めている。国境を越えた組織犯罪は、以前にも増して被害額が増え、資金洗浄を行うマネーロンダラーは、不正に得た利益の真の出所を隠す新たな手法を考案している。本記事では、アメリカ連邦政府の最新のマネーローンダリング対策の取組みに加えて、CFEがビジネススキームと支払技術のリスクに対処するための方法を紹介する。
 
By Robert Tie, CFE, CFA
 
 
革新的で見慣れない犯罪だとしても、調査員は、過去に解決した類似の事例と結びつけられることが多い。手段は新しくとも、方法は従来と変わらないものだ。
 
 1月24日テキサス州マクアレンで、出入国の際に、1万USドル以上の現金は申告しなければならないとする連邦法の要件 (31 CFR 103.23) に違反した罪で12名が禁錮刑を言い渡された(http://tinyurl.com/7cuwee7)。被告は、メキシコ行きの商用バス(commercial passenger bus)に乗車し、310万ドルをエアマットレスに入れて隠していたところ、テキサス州ヒダルゴの国境検問所で検出された。手段は新しくとも、方法は従来と変わらないものだ。洞察するどく隠匿物を発見した税関と国境パトロールおよび、移民税関捜査局(ICE)の国土安全保障捜査局(HSI)とが共同で捜査を行った。
 
 しかしながら、時折、マネーロンダラーは、発見や予防が困難な、全く新しい手段を生み出す。そうした犯罪の発明に対処すべくHSIは、特に、貿易ベースマネーロンダリング(Trade Based Money Laundering)として知られる最近の手法についてHSIは一層の努力を惜しまない。テキサス裁判の1週間後、カリフォルニアの玩具卸の堕落したリーダーらは、TBMLにより有罪の判決を下された (http://tinyurl.com/6vdlcst)。調査官がどのようにして裁判証拠を収集したかは以下の通りである。
 
 
 

ICE勢いを増す (ICE TURNS UP THE HEAT)

 
 
 2009年6月30日、エンジェル・トイ・カンパニー(ATC、玩具会社)の共同経営者である2人の女性が、現金7,000USドルを地元銀行の会社口座に預けた。従業員29名の問屋であるATCは、ロサンゼルスのほこりまみれの南部より素敵な地域に所在していた。特定のATC顧客が、テディベアやその他玩具への支払いのために、時には10万USドルを超えるほどの大金を落とす時もあり、ビジネスはとりわけ順調であった。
 
 セールス担当のATC副社長マイチュン・チェン・フアン(Meichun Cheng Huang)と、ATC社長のリン・ユー(Ling Yu)は、銀行へ預ける前に、1万USドル以下になるようお金を分けその後、中国の工場へ送金した。商品は中国からコロンビアへと船で輸出し、そこにある別のATC店舗で玩具をペソで売り、その交換された現金をロサンゼルスの顧客担当に渡していた。この一連の動きを介して、フアンとユーはATCで相当な収入を得ており、中国の組立ラインは常に忙しく稼働していた。加えて、ロサンゼルスの特別な顧客は、USドルを喜んでコロンビアペソに交換させ、ボゴタの共犯者へと渡していたのだ。
 
 しかし、これにはフアンとユーも驚かされた。数カ月前、複数の情報提供者が、(ATCで)巨額の現金受け渡しが行われていることについてHSIのロサンゼルス事務所に通報した。HSIはTBMLに関する全ての捜査を主導している。ビジネスの観点からすると卸業者への現金の支払いは理にかなったものではなく、HSIは、カリフォルニア州司法省の麻薬取締局(California Attorney General’s Bureau of Narcotics Enforcement)の協力を得て、速やかにATCの捜査を始めた。捜査の結果、その女性が預金した7,000USドルは76回目の仕組み取引(structuring transaction)であり、総計800万USドルにのぼることを明らかにした。
 
 程なくして、司法省(DOJ)はフアン、ユー、ATC、そして、ボゴタにあるエンジェル・トイ・コロンビアのオーナー、ホゼ・レオナルド・クエバス・オタロラを、仕組作り、洗浄、そしてペソ交換ブラックマーケットへの参加をした罪で告発した。司法省は、当該ブラックマーケットを「国際的な購買及び商品の輸送/出荷を通じて米国内の麻薬取引に係る資金を『クリーンな』コロンビアペソに交換する貿易ベースマネーロンダリング手法」と表現した。
 
 2009年10月、カリフォルニア州の中心地区にある連邦地裁における大陪審では、4名の被告全員がその容疑で起訴された。ロサンゼルスの他のATCオーナーたちは、不正に気付いていなかったのが明らか、として大陪審は彼らを起訴しなかった。フアンとユーは全ての罪状を認め、1月31日から37カ月の禁固刑、更に各人に2万USドルの罰金刑の判決が下された。ATCは米国政府へ100万USドルの罰金を命じられた。
 
 クエバスはコロンビアで勾留され、米国への身柄引渡は保留になっていた。
 
 「ATC社および他のTBMLオペレーションに対する我々の努力は、国境を越えた組織犯罪に対する国家戦略を支えるものだ」とワシントンDCにあるHSI犯罪防止班の金融および売上不正対策課のチーフ、レックス・セッツアーは述べた。(コラム「国境を越えた組織犯罪と闘う戦略」参照。)「国際貿易に係る不正リスクを減らすために、我々は、トレード・トランスペアレンシー・ユニット(Trade Transparency Unit)を設立し、当該課題についてパートナー諸国と交換した貿易に関するデータを分析しています。」
 
 パートナー諸国には、アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、パラグアイ、メキシコ、パナマ、そしてエクアドルが含まれる。DARTTS(Data Analysis & Research for Trade Transparency System)と呼ばれる、HSIの特別なコンピューターリソースにより、TBMLや他の貿易、金融に関係する犯罪の兆候を探るため、調査官が国際取引の両サイドから情報を調査することが可能となる。
 
 「DARTTSは、我々がATCスキームを発見するために用いた多くのツールの1つだった」とセッツアーは言う。「我々は、コロンビアとTTU合意があるが、中国とは無い。そのため、ATC取引の片足が盲点となっていた。しかし、我々は情報提供者のヒントや金融機関からの情報に飛び乗ったのだ。CFEがもしビジネスの観点から理にかなわない、似たような事例を発見した場合地元のHSIオフィスに情報の提供をお願いしたい。」とセッツアーは続けた。「CFEの支援を歓迎します。」
 
 
 

トミーガンを残し、帳簿は隠す (LEAVE THE TOMMY GUN; HIDE THE BOOKS)

 
 
 「連邦政府がアル・カポネを逮捕したのは、恐喝ではなく脱税の罪であった」と、テネシー州メンフィスに本社を構える調査コンサルタント会社、ウィルソン&ターナー社のプリンシパル、CFE、CIIのジョナサン・E・ターナーは言う。「暴力的重罪よりも金融犯罪によって彼は破滅した。(逮捕という)この成功の後、連邦政府は、違法なオペレーションや利益を洗浄するペーパーカンパニーを設立する等、犯罪組織が行う典型的な資金処理を禁ずる法律を制定し始めた。
 
 彼が言うには、1970年代以降、連邦政府は民間セクターに対して、金融犯罪のあらゆる兆候をもスクリーニング、分析、報告することを次第に要請してきている。
 
 「過去40年以上に渡って、殆どの会社はAMLプログラムの構築は、ビジネスリスクを管理する手段ではなく、コンプライアンス義務と捉えてきた。」と、ターナーは言う。これは賢明な考えではありません。金融犯罪は銀行をターゲットとしていたものだが、今や当局を満足させるためAMLプログラムを強化してきた。そのため不正実行者はもっと狙いやすいターゲットを探している。中小企業を支援するCFE資格者にとっては他人事ではありません。」
 
 (リージェントの名誉教授、ターナー氏は、金融不正と従業員犯罪の予防と発見を専門としており、ACFEの会員である。ジョンワイリーアンドサン刊行彼の近著「マネーローンダリング防止策(金融洗浄防止策):金融不正を抑止、発見、解決する」)
 
 
 

自社の規模に合ったAMLプログラムの構築 (RIGHT-SIZE YOUR AML PROGRAM)

 
 
 「CFEの役割として重要なことは、クライアントや雇用主に、マネーローンダリングはドラッグカルテルやテロリストによってのみ行われるような犯罪ではないということを理解させることである。事実、ほぼ全ての不正スキームにおいて重要な役割を担っている。」とターナーは言った。「従来の横領では、会計担当が架空の会社を設立し支払いを行う。その後、会計担当は架空の会社を利用して自分の夫を雇い、給料を払う。これはマネーローンダリング行為である。」
 
 こうしたリスクから会社を守るために、小規模企業は大企業と同レベルのAML対策を講じる必要は無い、と彼は説明した。単に直面しているリスクに気付くことが鍵となる。不正リスク評価で洞察力を磨いたCFEは比較的小さな変更点を加えることで小規模なクライアント企業が直面する大きなリスクを低減することができる。
 
 
 

出来すぎた話 (TOO GOOD TO BE TRUE)

 
 
 「例えば、利益をもたらす見込みのある、まれにみるベンチャーへの参画に招待された企業経営者は、慎重になるべきだ」とターナーは言った。
 
 商取引で現金払いを希望する顧客や、国内の支払いを促進するため気前のいい「コミッション」を提示する企業はリスクが高いとは見られないだろう。しかし、マネーロンダラーはしばしばこれらのテクニックを使い、法を遵守している企業が気づかないうちに協力させている場合がある。把握されているテロリスト、麻薬密売人、そして奴隷取引業者らは米国の金融システムから締め出されている。そこでCFEは、トンネル会社や明らかに合法の銀行や金融機関からの、魅力的だが疑わしい提案を警戒するようクライアントにアドバイスすべきである。
 
 ターナーはマネーローンダリングのリスクがビジネスにもたらす例として最近の事例を紹介した。2011年12月、米国司法省は、国際的なマネーローンダリングの手段を用いて、合法な資金と犯罪による収益を合体させヒズボラに移転するという陰謀を企てた疑いで、レバニーズカナディアン銀行(Lebanese Canadian Bank)、他に対して民事訴訟を起こした。
 
 未だ係争中のその訴えによれば、そのスキームは、レバノンから米国に約2.3億ドルを移転し、30以上のディーラーから中古車を購入させるものだった。その後、西アフリカで転売された中古車の代金は、麻薬密売業者や違法なダイヤモンド取引と一緒にレバノンへと輸送されていた。このスキームは異なる活動を組み合わせることで人の目を欺くことができる。違法ドラッグを密売することはどこでも禁止され、紛争地帯からのダイヤモンドを取引することは一部の司法地域では禁止され、中古車販売は世界中で合法とされている。
 
 その名前のおかげで、LCB社はカナダの会社にみえるかもしれない。しかし、実はベイルートに本社を置き、レバノンに30以上の支店を有する。カナダにはオフィスがモントリオールにしかないのである。
 
 「このスキームと一連の活動はレバノンが起源である。」ターナーは言った。「この方法で共謀者たちは、テロリスト組織にお金をつぎ込むという、彼らのベンチャーの真の目的を隠したとされる。この事例から現代の多くのマネーローンダリングのテクニックが見られる。多くの仲介者と実在しない参加者を経て、様々な国の法制度犯罪活動のギャップを悪用するものだ。マネーロンダラーが政府の注目から逃れるためにより一層創造的な方法を着想するにつれ、一企業と彼らにアドバイスするCFEはその手の不正に今まで以上に警戒しなければならない。」
 
 
 

FINCEN:リーダーシップと支援 (FINCEN: LEADERSHIP AND SUPPORT)

 
 
 米国金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)にとってマネーローンダリング対策は最優先事項だ。「犯罪者の主要な動機は利益を得ることです。」とFinCENのディレクター、ジェームズ・H・フリースJr.は語る。「この組織の役割は資金の流れを追うことです。」(フリースはACFEのクレッシー賞を受賞している。)
 
 FinCENはマネーローンダリング対策(AML)における2つの目的がある、と彼は説明する。1つ目は犯罪者が不法に得た金をあたかも合法であるかのようにみせるため、金融システムを利用させにくくすること。2つ目は犯罪者の金融口座や取引が情報や証拠のソースとなり、法執行機関や司法機関が犯罪の追跡や有効な証拠として利用できるようにすることである。
 
 FinCENのこれらの長期目標が、法執行機関や民間の業界のAML活動を支援し、さらに、国際的組織犯罪と闘う連邦の戦略と合致する。
 
 米国金融情報機関(FIU)として、FinCENは、法の許す範囲において、疑わしい犯罪に関する情報の収集および要請を行う責任を持ち、それを法執行機関やその他機関に通知する責任を有する国家組織である。FinCENはエグモントグループ(www.egmontgroup.org)によって構成される百を超えるFIU組織の1つであり、メンバーがマネーローンダリングや多くのその他のクロスボーダー金融犯罪をより高度に発見・予防するための情報や分析を共有する国際組織である。
 
 FinCENはまた、金融活動タスクフォース(FATF; www.fatf-gafi.org)の国内メンバーとして世界標準の適用を推進する米国財務省の試みを支援する。この活動は、国際的なマネーローンダリングを戦うためにG7諸国が1989年に設立した。FATFメンバーは32カ国と2つの地方組織が含まれる。FATFは、180以上の政府がマネーローンダリング、テロリストの資金活動、汚職への取組みをガイドするために用いる「40の勧告(40 Recommendations)」を発表した。
 
 「同様に、我々が民間産業と協働する時、成功の要因は相互に支援するチームワークと自然に発生する人間の動機(natural incentive)を認識することにある」とフリースは言う。「例えば、不正がビジネスに悪影響をもたらせば根幹が揺らぐ。だから銀行が積極的に自身及び顧客の財務上の利益を守るために犯罪が金融システムを通じて資金移動をするかもしれない様々な手段に対して警告してほしい。」
 
 例を挙げると、返済する意思が全く無い犯罪者に融資すれば銀行自体が被害者にもなり得ると彼は言う。或いは、銀行は気付かぬうちに、不正の実行者が銀行の顧客を犠牲にするために利用される恐れもある。銀行は金銭的な損失を被ることは無いかもしれないが、気付かぬうちに不正を許してしまった結果、評判を傷つけることになるだろう。
 
 上述した法律的役割に加え、FinCENはAMLや金融関連法に対するテロリズム対策の発表・解釈、遵守させるための支援を行う。2011年、FinCENは、既に支払われた資金を取り戻し、送金可能なプラスチック製カード、携帯電話、電子シリアル番号、キー・フォブなどのプリペイドのアクセスデバイスを利用したマネーローンダリングのハイリスクを軽減するためあるルールを発表した (http://tinyurl.com/6rhxtlu)。
 
 「組織犯罪ネットワークは非常に複雑化してきています」とフリースは言う。「そのため我々と法執行機関は、新しいテクノロジーや金融サービスに内在するリスクを未然に防ぎ、対応するため懸命に努めています。」
 
 2012年3月、全条項が有効になった。FAQは以下を参照http://tinyurl.com/7z9pklo。これらの製品・サービスのもつ匿名性のため、規制では事前のID確認と、犯罪的濫用への対応がより可能となり、FinCENが個人調査をしている間に資金を追跡する法執行機関と協業を可能とするための記録を要求する。
 
 「我々は金融サービス業界とも密に働いてきた。可能な限り、ルールが、比較優位性の無い特定製品やビジネスモデルを避け、進化するテクノロジーや消費者需要を取り込むことを確実にするために。」とフリースは言った。「一般の反応は好意的だった。我々は法的な効果と市場の現実性の間のバランスを見つけることができたといえる。」
 
 FinCENはまた、不動産金融セクターのデータ収集も強化した。2011年11月、組織は、ファニーメイ、フレディーマック、フェデラルホームローン銀行に対して、AMLプログラムを作成し、疑わしい活動レポート(SAR)をFinCENに提出することを要求するルールを提案した (http://tinyurl.com/7vp83ox)。更に、2012年2月には、非居住担保の貸付業者とオリジネーターにも同様の法的義務を課すルールを最終化した(http://tinyurl.com/7fg8rru)。それらのルールにより、担保に関連するSARの提出を増やし、当該セクターにおいて、国内の不正トレンドの全体像を提供できるようになる。
 
 「FinCENでは長年、住宅用不動産モーゲージ不正の増加を忠告してきました。」とフリースは言う。「経済不況の中でも、無数の住宅取引が行われているこの市場に目を向けた不正実行者らを規制する法の制定が急務でした。」
 
 
 

お手軽なAMLは無い (NO TURNKEY AML)

 
 
 世界中の金融機関はリスクを低減し規制当局を満足させるAMLソフトウェアを必要としている。しかし簡単なソリューションは無い。
 
 「例え最も優れたシステムだとしても常に進化し続けるマネーロンダラーの手口に対処するために継続的に調整が必要となる。」と、マサチューセッツ州ボストンに本社を置き、金融セクターにサービスを提供するビジネス・テクノロジー・法令のコンサルタント会社、Aiteグループでリサーチディレクターを務めるジュリー・コンロイ・マクネリーは言う。
 
 彼女が発行した2011年の白書「世界のマネーローンダリング対策ベンダー評価:再活性化市場」によれば、2010年で総額80億USドルにのぼる、米国の目立った執行活動は、金融機関に既存の内製したAMLプログラムが規制当局の精密な調査に耐え得るかを見直すきっかけを与えた。
 
 「多くの金融機関は耐え得るプログラムではないと回答し、多くが危険にさらされていた。」とマクネリーは語る。「2011年、FinCENと通貨監査局(Office of the Comptroller of the Currency)はパシフィックナショナル銀行に対して効果的なAMLプログラムの導入を怠ったとして700万USドルの罰金を科した。一部の機関にとっては、それほど痛手ではない金額かもしれないが、パシフィックナショナル銀行にとっては総資産の1.9%当たる額だった。」
 
 大手銀行も同様の痛手を負っている。2010年に司法省はスコットランド銀行(RBS)に罰金を科した。金額は、ブラックリスト国との間で行われた資金送金の総資産のわずか0.014%相当だった。それでも、五億ドルの罰金は打撃となり、それは巨大なRBSが禁止された慣行に対してより用心深くなるのに十分な金額だった。マクネリーは全ての金融機関に対し、先例を倣うようアドバイスしている。
 
 「規制当局が金融機関のAMLシステム監査を行う際、現況のリスク環境に対しどう警告を発しているかをチェックしている」とマクネリーは言う。「例えば、一部の金融機関では通貨取引が9,000USドルを超えた場合に検査を強化しているとする。そうすると、悪事を働く者らは取引金額を5,000USドルに引き下げるだけだろう。CFEはクライアントに、警戒指針が2年以上、改善しないままにしておかないようアドバイスすべきだ。これは効果の薄いAMLプログラムを示す、明らかな兆候である。」
 
 FRAUDマガジン28号では、世界のCFEがマネーローンダリング対策の対応ついてレポートする。
 
 
 

コラム1

 

国境を越えた組織犯罪と闘うための戦略

Strategy to combat transnational organized crime

 
2011年7月、バラク・オバマ大統領は、世界規模のマネーローンダリングとその他の継続する犯罪脅威を低減させるため、国家安全保障会議における計画をアメリカ国家安全保障局に紹介した。全文は以下を参照のこと:http://tinyurl.com/3t5jwtg.

 

 

コラム2

 

月曜の朝に行うこと
Things to do Monday morning
 
  1. マネーローンダリング対策の法律、規制、執行活動をレビューし、時流を追うこと
  2. マネーローンダリングの潜在的兆候を発見した際に通知できるよう、国際的レベル、連邦、州、地方の法執行機関について知ること
  3. マネーロンダリングテクニック、特に政府内・政府間の協力や気づきのギャップが大きいものについてのニュースに遅れをとらないよう上記の組織によるAML関連の出版を購読すること
  4. クライアントのAMLプログラムの問題点について警告し、不正リスク評価手続きとリスクのチェックも確実に含めること
  5. マネーロンダラーが利用する進化したテクノロジーとそれに対応する最新の調査対応策に遅れをとらないこと
  6. マネーローンダリングの調査や起訴に関する情報共有を目的としたソーシャルメディアのフォーラムに参加すること
  7. マネーローンダリングの発見・予防に関するACFEセミナーやウェブセミナーへの参加を検討すること

 

 

コラム3

 

マネーローンダリング対策:包括的概観
AML: a global overview
 
2011年後半、KPMGインターナショナルは、グローバルマネーロンダリング対策調査の最新版を発表した。(http://tinyurl.com/7cuwko5)回答者には世界の銀行トップ1000、リテール、法人、プライベート(個人)、投資、企業向け融資(大口融資)といった業界の主要セクターを代表する企業が含まれている。
 
 以下、調査結果の概要である。
 
  • 上級管理職(シニアマネジメント)のAMLへの関心は当初のより減少している。AMLは「重要課題」であると述べているのは、回答者のうち62%であった。
  • 対策のモニタリングは従前と変わりなく、不十分なレベルである。16%の回答者が、AML対策の公式なテストを実施していないと回答している。
  • 93%の回答者は、顧客確認手続(Know Your Customer)で得た情報のギャップを修正しているが、その手法は様々である。最大なチャレンジは、2013年に施行を予定している米国の外国口座税務コンプライアンス法(FATCA; U.S. Foreign Account Tax Compliance Act)である。FATCAは、外国金融機関に対し、米国納税者ないし米国納税者が相当量の持分を所有する外国事業体が保有する外国口座について米国内国歳入庁(IRS)への報告を要求するようになる。
  • 銀行の85%の回答者は、法規制のもたらす負荷は、全体的なレベルとしては許容範囲と感じているものの、多くは規制当局のより詳細なガイダンスや協調的アプローチを希望している。

 

 

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