最終更新日:2019-07-11

第 30 回 ACFE 年次総会レポート (2 日目 基調講演 (General Session) 1)

パナマ文書の報道記者は、不正検査士は「権力者に責任を負わせている」と称賛する

Panama Papers’ Reporter Lauds Fraud Examiners for ‘Holding the Powerful Accountable’

過酷、とても疲れる、面白い、そして満足感を与える。ACFE ガーディアン賞を贈られたバスティアン・オーベルマイヤー (Bastian Obermayer) は、ミュンヘンにある南ドイツ新聞 (ジュートドイチェ・ツァイトゥング; Süddeutsche Zeitung) の副代表であるが、同僚のフレデリック・オーベルメイアー (Frederik Obermaier) と共にパナマ文書の報道に携わった際に、この 4 つの感情の全てを体験した。

匿名の情報提供者からオーベルマイヤーに電子メールで送付された書類は、富裕層の個人や官僚の財務情報を含み、彼らが、パナマの法律事務所であるモサック・フォンセカ (Mossack Fonseca) を通して設立したペーパー・カンパニーを、税不正、脱税、制裁逃れなどの違法な目的で利用していたことを示すものだった。

 

オーベルマイヤーは、現在進行中の別案件のため、カンファレンス会場に来ることはできなかった。しかし彼は、ライブビデオにより、6 月 25 日の午前中のセッションでパナマ文書での活躍について講演してくれた。

 

「会場で皆さんとご一緒できないのをとても残念に思います。ガーディアン賞の受賞を非常に光栄に思います」。彼はこの賞の銘「For Vigilance in Fraud Reporting (不正報道の警戒に贈る)」を特に誇らしく思うと述べた。「まさにこれこそが何年間もかけて我々がやりたかったことなのです。我々は権力者を非常に丹念に調査し、不正や腐敗について何が発見できるか見極めようとしました」

 

「不正や腐敗の調査は、辛く困難です。不愉快なことが度々起こり、費用もかかります。そのことが特にジャーナリズムにとっての問題となります。そのことが、我々がそれを継続できることを私が誇りに思う理由です」

彼は、ジャーナリストの尽力により、数多くの国で政治的変化、法規制の改正が現実になったことを目にすることができたので、この仕事は満足の行くものだったと述べた。

 

彼がオースティンに来るのを妨げた事案は、オーベルマイヤー宛に送られてきた 2017 年の秘密に録画された 7 時間のビデオだった。このビデオは、オーストリアの副首相 (彼はその後辞任した) が、ロシアのオリガルヒ (露: Олигархи, 英: oligarch; 体制崩壊・経済危機の過程で生まれた新興資本家) の姪であると信じられた一人の女性に、政治的支援の見返りとして公共事業契約を提供したことを明らかにした。オーストリア連立政権は 5 月に崩壊した。

 

オリガルヒの姪であると言われている女性は数百万ユーロの資金をロシアからオーストリアに移動する必要があったとオーベルマイヤーは述べた。これを聞いた後、「その政治家は〔部屋から〕出ていかなかったのです。彼女は、オーストリアで最も影響力のある新聞を買収して、次の選挙で彼を〔首相として〕後援したいと話していました。皆さんは、彼の目を見ることが、その中に力がこもるのを見ることができたでしょう。そして彼女は『それで私には何が?』と尋ねました。・・・腐敗と無縁の政治家なら立ち上がって部屋を後にしたでしょう。しかし彼はそこに留まりました。その後の 7 時間、我々は彼がどのように彼女と交渉したのか見ました。結局、彼は彼女に公共事業契約を提供したのです」

 

オーベルマイヤーは、オーストリア政府内の「しつこい腐敗 (”viscous corruption”)」に路上で抗議するオーストリアの人々を称えた。「もちろん同じ光景をパナマ文書でも目にしました。アルゼンチン、フランス、英国、アイスランドで抗議する民衆です。人々が本当に関心を持っていることを示しています。彼らは富裕層や権力者の間にはびこる不正や腐敗にうんざりしています」

 

「皆さんが取り組んでいる仕事、そして我々が成し遂げようとしている仕事は、本当に重要だと思います。我々は、人々に、彼らの憤慨や怒りが見逃されることはないと示さなければなりません。我々は権力者に責任を負わせなければなりません」

 

オーベルマイヤーは、複数の書籍を執筆しており、その中の一冊はベストセラーとなった。”The Panama Papers: Breaking the Story of How the Rich and Powerful Hide Their Money”(邦訳「パナマ文書」, 2016/8, 角川書店) である。

 

彼はその業績に対して、2017 年のピュリッツァー賞、ジョージ・ポーク賞、Bartlett & Steele Award、および、次に挙げる複数のドイツの賞を受賞している:Henri-Nannen-Preis, Theodor-Wolff-Preis, Helmut-Schmidt-Preis, Waechterpreis, Deutscher Reporterpreis and Otto-Brenner-Preis.

 

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